Roland Digital Piano
Design Awards

In 2015, Roland challenged designers across the planet to create a
brand-new digital piano concept. Now, meet the winning entrants who are
rewriting the rulebook…

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300年の歴史と伝統を持ち、豊かな響きで音楽文化を支えてきたピアノ。ローランドは、1973年にローランド初の純電子発振式音源搭載の電子ピアノをリリースして以来、常にデジタルピアノの革新をリードしてきました。2015年9月に発表されたLX/HPシリーズは、最新のテクノロジーをラグジュアリーなキャビネットに収め、ローランドのデジタルピアノを新たなステージに導きました。創業以来デジタルピアノの可能性を追求してきたローランドがこの先に見据えるのは、伝統的な音や形の制約を超えた理想のピアノのあり方。これを次世代のクリエーターの方々とともに考えて行きたいという想いから、今回の“Roland Digital Piano Design Awards”を開催致しました。

Theme

Unleash

伝統的なスタイルの束縛を受けない、
理想のコンサートグランドピアノ

Grand Prize

Gallery

Facet Grand Piano

by Jong Chan Kim| United States

Facet Grand Pianoは、「ユニーク」、「エレガンス」という二つのキーワードを元にデザインされています。すべてのスピーカーは、本体の下のベースユニットに納められています。このアイデアは、単に音質面からだけではなく、新しいデザインの提示という意味もあります。頑丈なベースユニットから出力される繊細で高いクオリティーのピアノサウンドは、聴衆を驚かせる事間違いないでしょう。また、敢えてサウンドボードをなくすことで、現代的な表現をより強調しています。天板は、聴衆へ向けてベースユニットのサウンドシステムから出力されるサウンドを放射させる役割を果たします。また、鍵盤の前面には、大型のフルタッチスクリーンが装備され、デジタルピアノならではの様々な機能にアクセス可能です。Facet Grand Pianoは、伝統的なアコースティック・グランドピアノのスタイルから解き放たれた未来の理想のピアノの形を表現しています。

Experience Facet Grand Piano

Comment from the Designer

まず、グランプリ賞が貰えることは、まったく予想していませんでした。本当にローランドがこの素晴らしいデザイン賞を私に与えてくれたことを大変感謝します。この作品を考える際の最初に考えたことは、いかにしてグランドピアノとしてのアイコン的表現を未来のピアノに盛り込むかということでした。それを考えるにあたり、ピアノの様々な側面に関して考えを巡らせました。その結果、スピーカー部分をピアノの下に置くという構造を採用することに決めました。この構造が、ピアノとしての基本を押さえながらも、未来的な外観を提示することが可能にしてくれたわけです。良きアドバイスを私にもたらしてくれたメンターであるTim Tam氏と、グランプリに私の作品を選んでくれたすべての人に感謝します。

Comment from Roland

発音部を内蔵した台座を設けて、その上部に本体を視覚的に浮遊させるという基本構造がユニークな存在感を生み出しています。天板を開けた状態では、台座から発した音が外周フレームをくぐり抜けて天板に反射する、というデジタルピアノならではの大胆な演出が見られ、魅力を高めています。ピアノとして理にかなった構造でありながらも斬新な佇まいを実現していること、さらに多面体を用いて凛とした存在感と風格を感じさせる魅力的なフォルムにまとめあげた点が高く評価され、大賞に選ばれました。天板に音だけではなく光や映像も投映する等の演出があればさらに興味深い提案となったと思われます。

Designer’s Profile: Jong Chan Kim

Jong Chan Kim。韓国ソウル生まれ。2008年より、サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート大学にて工業デザインを専攻。2016年夏卒業予定。デザインする際には、常に我々の生活とデザインする製品の関係性を考え抜くことを信条にしている。そうした製品は、我々の生活をよりよくしてくれると言う確信の元、世界中に優れたデザインを提供できるデザイナーの一人になれることを目指して活動中。

Excellence Award

Gallery

SONUS

by Nicola Russo| Italy

サウンドウェーブ、ハーモニー、無限の音の広がり、Roland SONUSは、こうした目に見えない音像、エレガントで、流動的、途切れることのない、音楽の永遠のムーブメントを目に見える形でピアノを表現しました。ピアノの筐体と椅子がダイナミックで自然な形で流れる様に一体化しながら、鍵盤が、黒または白の光沢のある筐体の下に設置されています。Roland SONUSは、音楽の途切れることのない、うねりや動きを形として反映しています。

Comment from the Designer

ローランドからこういう素晴らしい機会を与えて貰えたことに感謝します。多くのグラフィックデザイナーが仕事をしながら、音楽を聴いています。音楽とデザインの間には、創造性はもちろん、多くの共通点があると思います。この両者は、何らかのコネクションを求めています。それらが緻密に形作られたメッセージとして皆の内面に伝わり、長い時間に渡って心の中に共鳴していきます。それは、まさに魔法のようなバランスです。私のデザインに対する情熱は、常に私の人生を、私の創造力の限界に向けて導いてくれます。ここ数年、新しい仕事から多くのことを学びました。大変幸運なのは、私の作品がアートとして実現したことだけでなく、作品の持つ情熱、本気さが、自分のアイデアを忠実に反映されたものと受け入れられたことです。創造性は、大変大きな責任を与えてくれると信じています。それは、まさに自分たちのあるべき姿を映し出してくれます。それと同時に、他のアイデアにも常に、敬意を払っています。挑戦は、必ずしもいつも新しい製品の創造に導いてくれるとは限りません。それでも、自分自身の求めている形とその物が持つ自然な佇まいを、上手く活かして調和させることで、新しいものを創造することが出来ます。この賞を、私の父に捧げます。そして、サポートしてくれたCamilla BellineとAndrea Russoには、感謝の気持ちでいっぱいです。

Comment from Roland

動きのある軽やかなフォルムが、デジタルならではのピアノとしての新しい魅力を生み出しています、ピアノ本体と椅子をリボン状の円環によって連結するという造形的なアイデアが、純化された優美なアイコンにまで昇華している点が高く評価され、優秀賞に選ばれました。演奏時の重量バランスやペダルの処理等、演奏を前提とした実用面でのソリューションが未知数です。また「コンサートグランド」的な奥行き感をもっと出してもよかったと思います。

Designer’s Profile: Nicola Russo

Nicola Russo、1981年生まれのクリエイティブディレクター、デジタルグラフィックデザイナー。1997年に、インテリアデザインとコンピュータグラフィックスの分野でキャリアをスタート。大学で土木工学を専攻しながら、自分のデザインセンス、エンジニアリング・マネージメントスキルを磨く。さらに、仮想環境アプリケーションや航空学等の分野の知識も彼に新しい視点を与えた。現在、彼はトリノの有名広告代理店で、リード3Dアーティストとして、新しいデジタル・コミュニケーション表現やデザインを求め活躍中。

Incentive Awards

Black Swan

by Matei Cristescu| Romania

Gallery

鍵盤やスピーカーボックス等の各構成要素が形態的に独立しつつ一本のステーでつながり、V字型のフット部から立ち上がるというデジタルならではの大胆な筐体構成で、浮遊感のあるダイナミックな形態が高く評価されました。細部の造形処理についてはやや冗長な部分が見られ、さらなる洗練の余地が認められます

Designer’s Profile: Matei Cristescu

Matei Cristescu、1986年生まれ、ルーマニア、フォクシャ二出身。フォクシャ二の高校で美術を学び、ブダペストの大学で、建築と都市計画を専攻。インテリアデザイン、2D/3Dのビジュアリゼーション、アニメーション、建築プロジェクト等でキャリアをスタート。彼自身のスタジオを2015年にブダペストに開設する前は、7年間インテリアデザイン、カーデザイン、ゲーム分野等多彩に活躍。彼の力強いデザインはイタリア、モデナでの自動車メーカーのデザイン・ディレクターとして活躍のチャンスをもたらした。現在自身の建築事務所 (Vizdevelopment)をブダペストに開設中。

Amber Unleashed

By Rebekah Winegarner| United States

Gallery

大胆なワンフォルムで非常に生命力にあふれたユニークな形態、独創的な素材発想が高く評価されました。全体フォルムと材質感にのみフォーカスした提案にとどまっており、音の出口等楽器としての成立させるためのソリューションが不明な点が惜しまれます。

Designer’s Profile: Rebekah Winegarner

Rebekah Winegarner、米国カンザスシティー出身の工業デザイナー。現在、カンザス大学の3年生。バイエル薬品、Sphero,インテル等の企業とのプロジェクトの経験も多数。消費者向け製品に対するデザインに深い興味があり、デジタルと手仕事を行き来しながらのワークフローで、両者のバランスを微妙に取りながらデザインワークをしている。彼女のデザインは、彫刻や美術品からの影響も強く受ける。休日には、絵画、ドイツ語のボキャブラリーを増やしたり、3Dプリンターを使った実験等、様々な活動を楽しんでいる。

space classica

By Tomasz Miłosz| Poland

Gallery

ダイナミックかつ洗練されたフォルムと素材の選択によって、「コンサートグランド」にふさわしい高級感、存在感が醸し出されています。全体として非常に完成度の高い造形です。これだけのマスがあれば、アコースティックピアノとしても成立しそうです。「デジタル」ならではの利点が見えにくい点が惜しまれます。

Designer’s Profile: Tomasz Miłosz

Tomasz Miłosz、1989年生まれ、ポーランド、シェラツ出身。ウッヂの美術高校で工業デザインを学ぶ。彼の修士論文は、首席卒業者に与えられる”Joint Rector’s Award”を受賞。在学中には、彼のパッケージデザインが、”Art of Packaging 2010”にノミネートされる。また、”Mazda Design 2015”のスポーツカーカテゴリーでも入賞。現在、フリーランスとして、社会的な利便性とコンセプト志向の両方を網羅したデザインで活躍中。

emptiX

By Naohisa Uchiyama| Japan

Gallery

天板の外周フレームにスピーカーとプロジェクターを配し、透明な天板に映像を投影するというデジタルならではのデバイス発想が新たな可能性を感じさせます。理詰めな造形が施されていますが、コンサートグランドに求められる気品やエモーショナルな造形美という点ではさらなる探求を期待したいと思います。

Designer’s Profile: Naohisa Uchiyama

内山尚久。東京の広告制作プロダクションでアート・ディレクターとして活躍中。主な、クライアントは、楽器、化粧品、カフェ等の企業。デザインは、Donald Judd氏のミニマル・アートスタイルや、Jean Prouve氏の合理的で無駄の無いスタイルに影響を受ける。また、フラワーデザインはDaniël Ost氏のスタイルを敬愛。現在は、煎茶とコンテンポラリー・アートを融合できないか計画中。

Swan

By Taro Saito| Japan

Gallery

開閉フラップを用いた軽やかさと、量感のあるダイナミックさを両立させた流麗な造形が評価されました。全体的な造形には整理の余地も残されているようです。また、「デジタル」ならではの利点が見えにくい点が惜しまれます。

Designer’s Profile: Taro Saito

齋藤太郎。工業系専門学校、武蔵野美術大学造形学部を経て、自動車/家電メーカーの商品企画室に在籍。現在、フリーランスで活動中。主な専門分野として、総合的な商品企画/工業デザイン/グラフィックデザイン等で活躍。フリーランスとしての活動で、企業勤務時には出来なかった様々な商品企画に参画。多彩な視野の広がりと経験を得る。こうした中で、自身が手がけたモバイルアクセサリー商品が、「2015年グッドデザイン賞」受賞に至る。

Review

“Roland Digital Piano Design Awards” は、今回が初の開催となりましたが、世界各国から128点ものご応募をいただきました。チャレンジいただいたすべてのクリエーターの皆様に心より感謝いたします。 「Unleash」というテーマを素直に受け止めた斬新で意欲的な作品が数多く集まりました。全体としては、造形性の追求か、デジタルのデバイス発想か、どちらか一方にデザインの焦点が絞られた作品が大半を占め、デザインの前提となるべき「人が演奏するピアノ」としての実用面でのリアリティに欠けるものも見られましたが、今回は造形性を重点を置いて審査をおこないました。大賞に選ばれた「Facet Grand Piano」は、ピアノとして理にかなった構造でありながらも斬新な佇まいを実現し、コンサートグランドピアノとしての魅力的なフォルムにまとめあげた力量が賞賛されました。優秀賞の「SONUS」は、ピアノ本体と椅子が一本の円環で連結するユニークな発想と、アイコンにまで昇華した優美な造形が高く評価されました。奨励賞については、当初1点のみ選出の予定でしたが、審議の結果選出数を増やすことになり、5点の選出となりました。いずれの作品も、造形性や提案性において優れた提案が認められました。

A Message from the CEO

Jun-ichi Miki,

CEO and Representative Director

ローランドは創業以来、デジタルピアノを通じて、常にピアノの未来を考え続けてきました。最新のテクノロジーで最高のデジタルピアノをお届けしたいという熱い想いをベースに、こだわりを持って製品を開発してきた結果、ピアノの音源、鍵盤、サウンドシステムは大きく進化し、楽器としての完成度はますます高まってきました。しかしながら現段階では、まだデジタルピアノがもたらす可能性のほんの一部が実現されたにすぎません。そこで、今こそ従来の枠に囚われない発想で、理想のピアノのあり方を、若いクリエーターの方と考えてみたいという想いから、“Roland Digital Piano Design Awards”を実施するに至りました。今回は、最高峰のピアノ、コンサートグランドピアノを題材にして、理想のピアノを徹底的に追求していただきました。お陰さまで、世界各国から新しい発想の素晴らしい作品が大変多く寄せられ、とても感激しております。また、ピアノという楽器への関心の高さも改めて実感した次第です。今後も常に新しい発想で、楽器としての表現力とグランドピアノにふさわしいデザインを兼ね備えたローランドにしか作れない理想のデジタルグランドピアノの実現を目指していきたいと思います。