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売らない新製品
配信日 2020・01・16
こんにちは。坪井佳織です。 さて、カリフォルニアではNAMMショー(世界最大級の楽器見本市)がいよいよ明日から開幕いたしますが、今回のメルマガは先週CES(世界最大級の家電見本市)で発表した、「売らない新製品」のご案内をします! 2015年、ローランド・デジタル・ピアノ・デザイン・アワードが開催され、韓国ソウル生まれのジョン・チャン・キムさん(当時、サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート大学在学)がグランプリを受賞されました。
三木社長(※当時。右)とキムさんと、模型
グランプリ受賞作品紹介 >>
当時、かっこいいCGのSNS記事に「なんじゃ、こりゃー!」とワクワクしたものの、添えられた↓この文章に、「ま、そりゃそうですよね〜・・・」。
この製品は、実在しませんし、製品化の予定もありません。
製品化の予定がないからこそ、制約なしに自由な作品が選ばれたわけです。 で、このたび!! じゃじゃ〜〜〜ん! なんとなんと、本当に作っちゃいました〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
SFです。近未来です。 かつてバック・トゥ・ザ・フューチャーで近未来だった2015年ももうとっくに過ぎましたが、こりゃすごい。 初めて見たときのわたしの感想は 「デジタル・ピアノはこうでなくちゃ!!」 でした。 だって、自由なんだから。思いっきり、夢を見ていいんですから。 「いいんですから」ってわたしは無責任に言うけど、このご時世、この壮大なコンセプト・ピアノの開発に技術者を投入するって、さすがローランド。
こちらのコンセプト・ピアノは、GPX-F1ファセット(ファセットとはクリスタルのような「結晶体」の意味です)といって、先日ラスベガスで開催された「CES 2020(電子機器の見本市)」で展示して「未来の電子ピアノ」として話題となりました。 製品化の予定はないそうです。だから、コストや電力の制約なく、やりたい放題のものすごい再生システムを積んでいます。見えている巨大な床面のスピーカー以外にも、めちゃ沢山のスピーカーが入ってます。この床面のベース部分から上に向かって放射した音が、大屋根に反射して飛ぶことで、フル・コンサート・グランドピアノと同じ音の広がりを実現しているそうです。
・・・と、言葉で聞いても「ふぅん」って感じだと思いますが、実際に聴くとすごいです。ホールでPA無しで、半分以下のボリュームでもものすごい音圧ですから。 「聴くとすごい」は、「弾くとすごい」です。 技術者が好き放題にクオリティを追求して新たに作ったピアノ音源なので、むちゃくちゃ抜けのいい、低音から高音まで余裕の音が出ます。演奏者に向けたモニタースピーカーも超ぜいたくに付いてます。
譜面台にはすごく大きなディスプレイがあって、デジタル譜面の表示やオンラインのビデオ・レッスン、Amazon 「Alexa(アレクサ)」などのクラウド音声サービスと連携するそうで、CESの展示でもこのデジタル譜面が大反響だったそうです(ローランドでは、もう何年も前から実用化されてる「デジスコア」という技術なのですが…)
運ぶための箱も規格外。 何しろ製品化しないんで。←そろそろ決まり文句になりつつあります。 製品化するなら、運搬、輸入、在庫、お客様のお宅へ運ぶまでしっかり考える必要があり、梱包(こんぽう)材も緻密に設計されます。 一方、GPX-F1ファセットはとにかく1台を壊れないように運ぶわけです。 つーわけで、こちら。
こんなバカでかい木箱3つにパーツを分けて運びます。写真は箱1つ分で、こんな箱があと2つもあります。ガンダムを運ぶトレーラーみたいなトラックが必要かも。象かイルカか、って感じです。 この箱が通れる搬入口があるホールにしか運べません(笑)。 いいんです、何しろ製品化しないんで。 そもそも、なんで作ったか、ってことですよ。
このピアノの開発リーダーを務めた第2開発部村井 崇浩(たかひろ)部長(当時)によると、 「製品開発って、量産をするからこそ、どうしても“何をやっちゃいけないか”、“何ならできるか”ってあらかじめ知識で考えてしまうんですよね。 それを全部とっぱらって、ローランドらしく、やりたいこと全部やってみようと、「ドリーム・ワークス」というプロジェクトを立ち上げました。 デジタル・ピアノの可能性を思いっきり表現したいということで、「そういえば、あのデザイン・アワードの優勝作品って実物化されてないよね、今こそ作ろう!」ということになりました。 コンセプトは「記憶に残る仕事をしよう!」です」 また、このピアノには、ベイマックスみたいに魂が宿ってます。「ソウル」って呼んでいるそうなのです「音に反応するグラフィック」が大屋根の下でまるで生きてるみたいにふわふわと浮かんでいます。CESショーでは「これどうなってるの!?」と大ウケだったそうです。
ちなみに床のベース部分からプロジェクターで映してます。村井さんネタバレしてゴメンなさいw
ほんとに生きてるみたい。 このピアノ、今週カリフォルニアで開催されるNAMMショー(世界最大級の楽器見本市)に移動し、その後、世界中を旅してお披露目される予定だそうです。 わたしは、お台場で等身大ガンダムを初めて見たときみたいな、「日本の技術、すげー!」という興奮を覚えましたよ〜。 大人だって、夢を忘れちゃいけないですよ、「どうせ実現できない」「どうせ作れない」って思っちゃダメですよ。「作る」ってことを先に決めて、「どうしたらできるか」って考える過程は、きっと、技術者冥利に尽きたんじゃないかなぁ。 今のところ製品化しないからこそ、思いっきり自由に開発できたそうなのですが、イノベーションって、こういう夢と冒険が何かにつながるような気がします。 実際、新しい技術を開発したら、まず、このGPX-F1ファセットに搭載して進化させ、納得した技術を製品に展開する計画だそうですよ。 いつかみなさんをびっくりさせるような、新しいピアノが誕生するかも?! 最後にリーダーの村井さんよりひとこと 「このドリーム・ワークス・プロジェクトは、ピアノの企画スタッフを中心に、設計、デザイン、マーケティング担当などさまざまな部署のスタッフの協力で完成できました。まさにピアノ・チームの結晶=ファセットです。」
ドリーム・ワークス・プロジェクトのみなさん
当記事はメルマガ「ローランドの楽屋にて」のバックナンバーです。本文中の製品情報や社員の役職等は配信当時のもので、現在とは異なる場合があります。
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これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!
ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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