だれでもはじめは初心者

ドラム 基礎知識編

軽音楽部に入って、ドラムを担当することになったみなさん。いつも音楽を聴いていると、当たり前のように楽曲に溶け込んでいるドラムですが、いざ演奏するとなると、知らないことがたくさん出てくるはずです。
ドラムを演奏する前に、ぜひ読んでみてください。

練習を始める前に

基礎知識

すぐにでも練習したいところですが、ドラムについて、少し説明しましょう。
ここでは、ドラムセットの基本構成、ドラム演奏に必要なもの、そして、最近、購入者が急速に増えている電子ドラムについて、ご紹介しましょう。

ドラムセットの基本構成

ドラムセットは太鼓やシンバルの集合体です。音楽を奏でる上で最も重要とも言える“リズム”を担う楽器で、以下のようなものから成り立っています。

1

バス・ドラム

ドラムセットの中で最も大きく、中央に存在するのが「バス・ドラム」です。低音パートを担当し、多くはキック・ペダルを用いて右足で踏んで演奏します。電子ドラムでは「キック」と呼んだりします。

2

スネア・ドラム

ドラムセットの中で最もよく使い、重要なのが「スネア・ドラム」です。胴(シェルと呼びます)の素材や深さなどよって音色が変わり、ドラマーがスティックやキック・ペダルの次に購入することが多い太鼓です。

3

ハイハット・シンバル

2枚のシンバルが専用のスタンドにセットされているのが「ハイハット・シンバル」です。スティックで叩くだけでなく、左足でペダルを踏むことで2枚のシンバルを開閉し、音を出したり、叩いて鳴らした音の長さを調整したりできます。バス・ドラムとスネア・ドラム、そしてこのハイハット・シンバルによって基本のリズムを奏でることができ、“3点セット”と呼ぶこともあります。
電子ドラムではシンバルが2枚ではなかったり、シンバル部とペダル部が独立していたりします。

4

タム/フロア・タム

“3点セット”で基本のリズムを刻む合間で、曲の展開を変える際に使う太鼓をタムと呼びます。サイズが小さいものをタムタム、大きめのサイズで自立するものをフロア・タムと呼びます。左から右へ行くにつれてサイズが大きくなるとともに、音程は低くなっていきます。合間に入れるフレーズをフィルイン(またはおかず)と言います。

5

ライド・シンバル

ライド・シンバルは、ハイハット・シンバルと同様にリズムを刻むために用いられることが多いシンバルで「トップ・シンバル」とも呼ばれています。クラッシュ・シンバルに比べて、大きく・厚みがあり、カップ(またはベル)と呼ばれる中心部とその周り(ボウと呼びます)を叩き分けて演奏します。ジャズなどで多用されるシンバルです。

6

クラッシュ・シンバル

「サイド・シンバル」とも呼ばれ、ライド・シンバルよりも小さくて薄いものがよく使われます。演奏時は主にバス・ドラムを踏むのと同時に叩きます。

ドラム演奏に必要なものは?

ドラム・パートに決まったみなさん。では、いったい何から揃えれば良いのでしょう。

スティック

まずはスティックです。ドラム演奏においてはこれがないと始まりません。主に木でできていますが、その種類や太さ、重さ、そして先端の形などはさまざまです。

最初のスティックはぜひともお店で握ってみて振りやすいものを選んでください。わからなかったら、お店の人にも聞いてみましょう。

キック・ペダル

ドラムに慣れてきたら、次に欲しくなるのがキック・ペダルです。例えば、バス・ドラムのヘッドに当たるビーターはフェルト、プラスチック、木と素材もいろいろ、そして形状もさまざまで、それぞれに音が違います。

他にも、踏み心地が軽いもの、高速フレーズを演奏するために左右両足で踏めるツイン・ペダルなど、多くのメーカーからさまざまな種類のものが販売されています。

スネア・ドラム

ドラムセットの中で最も使用頻度が高く、バンドそのもののサウンドにも影響が大きいのがスネア・ドラムです。
胴(シェル)の素材は、木製だとメイプル、バーチ、マホガニーなど、金属だとスチール、ステンレス、ブラス、コパー等、その他にもカーボンやアクリルなど、さまざまです。好きなドラマー、演奏したい曲が決まったら、その人が何を使っているのかを調べてみるのも良いですね。

そして、ドラムを始めるのと同時に購入する人が増えているのが電子ドラムです。
電子ドラムを所持することの最大のメリットは練習時間を確保できること!学校やスタジオだけではなく、自宅で練習ができれば、より早く上達できますね。最近はさまざまなメーカーから、たくさんの電子ドラムが販売されています。

のちほどVドラムについてご紹介しますが、みなさんの上達にどれだけ役立ててもらえるか、そのポイントにとことんこだわった電子ドラム、それがローランドのVドラムです!

電子ドラムとアコースティック・ドラムの違い

アコースティック・ドラムと電子ドラム。いったいどこが違うのでしょう。

音量

一番の違いは音量です。アコースティック・ドラムはご存じのとおり、非常に大きな音が出ます。バス・ドラムの“ドン・ドン”という低音やシンバルなどの“ジャーン”という爆音を、自宅で何も気にすることなく鳴らせる人はそんなには多くないでしょう。一方、電子ドラムは、叩く面がラバー(ゴム)やメッシュ(網目素材)でできています。アコースティック・ドラムと比べると差は歴然。しかも、ヘッドホンやイヤホンを繋ぐことで、リアルなドラム・サウンドを聴きながら演奏することができます。電子ドラムが広まっている理由の一つ。それは、自宅でも演奏できる「音量」にあるのです。

アコースティック・ドラムの太鼓の表面には皮(ヘッド)が張っていて、大きな音量が出る。

網目状の素材「メッシュ」が張っていて、叩いてもとても静か。これなら自宅でも叩ける!

ただし、騒音や振動には注意が必要です。電子ドラムが静かだと言っても、物を叩く以上、音は発生しますし、叩いたり、ペダルを踏んだりすると振動が発生し、下の階の人に迷惑をかけることもあります。演奏する時間を考えて騒音が起きないようにする、また防振対策をして下の階に響かないようにするなど、周囲への配慮を行いましょう。

電子ドラムと一緒に手に入れる人が多いノイズ・イーター。これを振動発生するバス・ドラムの脚やペダル類の下に敷くことで、下の階への振動を最大75%も低減してくれる。

板の下に半球状のゴムが付いていて、振動が床に伝わるのを軽減してくれる。

キック・パッドとペダルがぴったり収まる。

音色

アコースティック・ドラムは基本的には1つの音色ですが、電子ドラムには多彩な音色が内蔵されています。ドラムの音1つとっても、例えば、スタジオで叩いたような音色もあれば、アリーナ・クラスのコンサート会場で叩いたような音色もあります。また、ボタン1つでスネアを取り換えることもできますし、パッドのチューニングも自由自在。機種によっては、ドラム以外の音色(ダンス系やパーカッションなど)が入っていたり、自分で録音した音を入れたりできる機種もあります。

音色を自在に調整できて、自分好みのドラムセットが作れてしまう。

機能

日々の練習に便利な機能が充実しているのも電子ドラムの魅力です。例えばメトロノーム。リズム・キープの練習に欠かせないのですが、そもそもドラムが大きな音でメトロノームの音がなかなか聞こえないこともあります。電子ドラムであれば、音量の調整ができ、しっかり聞きながらテンポ・キープの練習ができます。その他にもヘッドホンがつなげて誰にも聞かれずに演奏できたり、Bluetooth®機能が付いていて、スマートフォンと無線接続して音楽を電子ドラム側で鳴らし、合わせて演奏することができたり、スキルアップのための練習機能が搭載されていたりと、“練習”には欠かせないパートナーになること間違いなしです!

ここまで電子ドラムの良いことばかりを紹介してきましたが、電子ドラムだけを叩いていて良いかというと、必ずしもそうではありません。軽音部にのみなさんは、きっとアコースティック・ドラムでライブや文化祭の演奏を行うと思います。部室やスタジオでアコースティック・ドラムも叩きつつ、電子ドラムをアコースティック・ドラムもしっかりと叩けるようになるために活用してほしいと思います。

 

まとめ

ここまで電子ドラムの良いことばかりを紹介してきましたが、電子ドラムだけを叩いていて良いかというと、必ずしもそうではありません。軽音部にのみなさんは、きっとアコースティック・ドラムでライブや文化祭の演奏を行うと思います。部室やスタジオでアコースティック・ドラムも叩きつつ、電子ドラムをアコースティック・ドラムもしっかりと叩けるようになるために活用してほしいと思います。