センサー技術

ローランドでは、Vドラムの開発において、長年にわたり、一打一打のレスポンスの速さ、楽器ならではの演奏表現を忠実に再現させるために、さまざまなアプローチでセンサー技術を磨いてきました。

マルチ・エレメント・センサー

電子ドラムにおけるセンサー技術は、パッドなどのインターフェースと音源をつなぐ大変重要な技術です。いくらパッドの打感、演奏フィール、音源が優れていても、演奏表現が的確にかつ迅速に、音源へ伝達されないと、演奏者の表現に的確に応えるドラムにはなりません。センサー技術は、ドラムという楽器を知り尽くしたローランドにしか、作り出すことのできないデジタル楽器に魂を入れる、ノウハウの塊と言えます。

打点位置による音色の違いを忠実に再現させた、新開発のマルチ・エレメント・センサー

最新技術と独自ノウハウによるマルチ・センサーにより、演奏のダイナミクスだけではなく、打点位置の違いを正確に検出することができます。音源、メッシュ・パッドのフィールなどとのコンビネーションで、スネアのプレス・ロールやフラムなど、打点位置による音色や演奏フィールの違いを忠実に再現します。最新のPD-140DSでは、打撃した際の信号を要素別に処理するセンシング・プロセッサーを内蔵した新開発のマルチ・エレメント・センサーにより、打点位置の検出精度が格段にアップしました。

高速デジタル通信技術が実現した、高速レスポンス

ドラマーが作り出すグルーブ感をより的確に表現するため、また一打一打のダイナミクスを極限までリアルに体験してもらうために、ショットから発音までの時間を徹底的に高速化しました。レスポンスの速さは、ドラムでは特に楽器としての魅力や演奏する心地よさを決定する重要な要素です。最新のTD-50では、あらゆるデジタル楽器の一歩先を行く先端の高速デジタル通信技術により音源に伝達され、さらなる高速レスポンスによる高い演奏性を実現しています。

スネア・マルチ・センサーの開発

3層メッシュ・ヘッドの自然な打感を活かすために、さまざまな硬さのセンサー・クッション、センサー位置、取り付け構造での動作検証を繰り返し、マルチ・エレメント・センサーが実現しました。

独自のセンサー感度設計技術が生み出す、強弱ダイナミック・レンジの広さと正確性

センサーの強弱ダイナミック・レンジが広く、正確でなければ、プレイヤーが演奏の抑揚をつけても意味がありません。Vドラムのセンサーはプレイヤー渾身の強打や、ささやくような弱打まで、確実に検出するように独自のセンサー感度設計技術を投入しています。

クロス・スティック・センサー

Vドラムで採用されているセンサー技術は、アコースティック・ドラムそれぞれの楽器ならではの奏法、特長をフルに活かす専用設計がなされています。たとえば、最新のスネア・パッドPD-140DSでは、ヘッド下の3カ所に世界初の静電容量方式のタッチ・センサーによる自動検出に対応したクロス・スティック・センサーを内蔵。音源側での音色切り替え操作なしで、ヘッドに手を置いた状態でのリム・ショットが可能になりました。リムにスティックを当てる深さも正確に検出し、ダイレクトにサウンドへ反映します。

AD2009

TD-20 KX

初のライブ・ステージ仕様Vドラム。ハイハット・ペダルの速度や位置も加味した音色変化や、スネアやシンバルの打点位置による叩き分けにも対応。

ハイハット専用モーション・センサー

VハイハットVH-13には、オープン/クローズを検出するモーション・センサーを搭載。ハイハットの開き具合を0.1mm単位で検出することにより、クローズから少しルーズにしたクローズ、ハーフ・オープン、さらにオープン、フル・オープンへの繊細なコントロールにも自然に音色が変化。さらにペダルを踏む速度も検出するので、フット・クローズやフット・スプラッシュなどのハイハット・ワークも余すことなくサウンドに反映します。

シンバル

最新のライド用VシンバルCY-18DRでは、新開発のマルチ・エレメント・センサーを搭載。打点位置やダイナミクスの検出精度が飛躍的に向上しました。ボウ部分に広範囲にわたり内蔵された静電容量方式のミュート・センサーにより、エッジ部分を掴んでのミュートだけでなく、ボウ部分を手の平でタッチしてミュートなど、多彩なテクニックを駆使した演奏が可能になりました。

静電センサーの形状試作

静電容量式タッチ・センサーの性能と耐久性両立のために、電極形状と取り付け方法に関して試行錯誤を繰り返しました。

  • インターフェース

    アコースティック・ドラムの構造、物理的特性を徹底的に追求したスネア、タム、ハイハット、キック

  • サウンド

    ローランドは、アコースティック・ドラムの振る舞いを再現するモデリング・テクノロジーにより、楽器としての圧倒的な表現力を求めてきました。

  • ヒストリー

    1997年に、世界最初のメッシュ・ヘッド・パッドを搭載したV−Drums TD-10をリリースして以来、ローランドは20年にわたり、Vドラムを表現力豊な楽器とするために追求し続けてきました。