エアロフォンAE-20開発秘話

配信日 2022・01・07

あけましておめでとうございます。
「ローランドの楽屋にて」ライターの坪井佳織です。

今年もゆる〜く、ときどき濃く、みなさまにローランドのど〜でもいい裏側をお伝えしようと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、新年最初は、本日発表されたばかりのエアロフォンの新製品「AE-20」をご紹介します!(編集部注:2022年当時)
お話を伺ったのは、機構技術部の八重樫凜さんと、RPG第2開発部の三村俊貴さんです。
入社2年目と3年目の若い社員さんなので、わたしの保護者感がすごいw

こちらが新製品のAE-20です。

ぱっと見、最上位機種のエアロフォン・プロ、AE-30にそっくりです。すごい高級感です。

AE-20の特徴その1:ZEN-Core音源搭載

まず、最大の特徴は、ZEN-Core(ゼン・コア)音源システムを採用していること!
元々ものすごく良い音が入っていることに加えて、Roland Cloudから音色をダウンロードして追加することが可能です。

→ AE-20製品概要・サウンド紹介(動画)

AE-20の特徴その2:日本語表示

ディスプレイが日本語表示になりました!これはだいぶ嬉しいです。
音色名や機能名など、視認性がものすご〜く向上します。カタカナばんざい!
(※AE-30もシステム・プログラムVer.2.00以降で日本語表示できます。→最新のアップデーターはこちらから

AE-20の特徴その3:キータッチの良さ

なんとも言えない心地の良いキータッチです。何度も改良を繰り返し、手応えはあるのに低反発まくらみたいな質感が実現されてます。

AE-20の特徴その4:お求めやすい価格

AE-30にそっくりで、音源も同じなのに、だいぶ安いです。「AE-30欲しいけど〜、手が届かんなー」と思っていたみなさま、お待たせしましたー、買えまっせ〜。急いで予約してねー。

何しろそっくりなので、どこが違うのかご紹介します。

↑AE-30はヘアライン入りのアルミパネルが使われていて、黒い部分は光沢があります。AE-20は、樹脂です。

↑AE-30に搭載の、音色にニュアンスを付けるときに使うサム・パッドやモーション・センサーがAE-20にはありません。

↑AE-20にはMIDI端子がありません。USB MIDIが付いています。

長さはAE-20の方が5cmほど短いです。持ちやすいです。
音色数はAE-30が331音色(Ver.2)、AE-20が265音色です。

正〜〜直に申し上げますと、パッと見た感じが「わっ、難しそう・・・」って思っちゃったのです。AE-10(初代エアロフォン)が「簡単そう!自分にも吹けそう♪」だったので、AE-30に似ていることで、初心者には難しそうだなと思ったんですね。

そのことで、取材中に何度も何度も突っかかっちゃいました、「初めて楽器弾く人には難しいんじゃないですか?」って。嘘は書けないから。

そしたら、「吹いてみます?」と言われたのです。
うぉっ、よく考えたら、は、は、は、初めてでした!!エアロフォンを吹くの。

最初はどこに指を置くかも分からなかったところからのスタートです。

やたらとボタンがいっぱいあるように見えたんだけど、AE-10(初代エアロフォン)は全体が白だったから目立たなかっただけで、ほぼ同じでした。そして、リコーダーで使うボタン以外は、実際のサックスでもあまり使わないから、全部使いこなさなくちゃ!と思わなくて大丈夫だそうです。

さて、演奏・・・

「すこ。」

あれ?

「すー、すこ。」

音が出ない・・・。

「あ、もっとくわえてみてください」

「ド〜〜〜〜♪」

わー!出ました〜。
初エアロフォン!!

リコーダーを吹くより、もっとパクッとくわえ、空気が漏れないようにするみたいです。

音が出たらすぐに「メリーさんの羊」が吹けて、その次には「リリカルリード」という音色で「オーメンズ・オブ・ラブ」のメロディがすぐに吹けました!!

わたし、ちょっとみんなが爆笑するほど上手でしたwww

ヤバい。
これはヤバい。
楽しいです。メロディー楽器、すぐ吹けて楽しい!!

しかも、この瞬間まで「ZEN-Coreなんですよ!」と言うのを心の中でふぅんと聞いていたわたしでしたが、自分で吹いてみると、やっぱり良い音はめっちゃ良い!!!

「初心者の方にも取り掛かりやすくするために、取扱説明書を工夫しました」

お話ししてくださったのは、入社3年目の三村さんです。

学生時代、インターンシップ募集のリストをパラパラめくっていたとき、「Roland」の文字が輝いて見え、そこから「電子楽器業界へ行こう!」って決意したそうです。

入社1年目からAE-30(エアロフォン・プロ)の開発にたずさわり、しかもユーザーインターフェース担当だったので、「自分が作った部分が世の中に出るんだ!」と、とてもやりがいを感じたそうです。

エアロフォン開発段階では、開発リーダーの寺田さんと意見がぶつかることもあり、そのときはお互いに納得いくまでとことん話し合いました。

「よく考えてみたら、20代の僕が50代の上司と意見をぶつけ合うなんてローランドじゃなかったら考えられないかもしれません。
自分の意見をきちんと伝えることができて、自分もこの楽器を作ってるんだという実感が湧きました」

寺田さんにもお話を伺いました。

「新人らしからぬ落ち着いた態度で意見をぶつけてくる三村さんは、将来大物になると思います!」

いや、写真ww!!威厳どこ行った?!

機構を担当した、入社2年目の八重樫さんもインターンシップでローランドに来て、「なんて素敵な会社なんだ!」と思って入社しました。

全部の部品を自分で作れるので、どこかに変更があっても兼ね合いを考えながら調整することができるところが「ローランドならではという感じがします」とおっしゃっていました。

エアロフォンは、他の製品に比べて、構造がとても複雑です。入社1年目から海外とのやりとりをガンガン任され、4〜5回、金型の修正をしたそうです。

リーダーの寺田さんによると「1年目でこんな複雑な製品を担当することもなかなか無い」らしいのですが、いや、任せたのアンタやん!

そして、お二人に共通していたのが、

「ローランドはとても自由な会社。

自分のやりたい仕事をのびのびとできるかなと思って入社しましたが、イメージ通りの仕事ができていて、楽しいです」


ということでした。

AE-10(初代)から経験を培ったベテランエンジニアと若いエンジニアがバランスよく関わったAE-20、すごく楽しいので、楽器を始めたい方、かつて演奏していた方におすすめです。管楽器未経験のわたしでもすぐ吹けました!

電子管楽器エアロフォンの詳細はこちらをご覧ください。
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本号はバックナンバーです。本文中の製品情報や社員の役職等は配信当時のもので、現在とは異なる場合があります。

これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!

ライター・プロフィール

楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)

電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。

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