ワイルド・サイドを歩きまくってる人んち訪問

配信日 2021・3・18

おはようございます。
坪井佳織です。

今日は、徳島県に住む読者様のオタクへ、ビデオ会議のZoomを使ってバーチャル訪問してきました。

明治時代から続く三芳菊酒造株式会社の五代目で杜氏さんの馬宮亮一郎さんちでーす。

2年前かな?
自慢の機材を紹介してもらう「読者様のオタク訪問募集!」に応募してくださり、惜しくも次点だったのです。わたしも編集部員も、「いつか行きたい〜」と思っていて、このたび、Zoom訪問したというわけです。

まずは、三芳菊さんの美味しいお酒でかんぱーい!


(編集部注:事前にお酒を取り寄せました。坪井さんはお酒が呑めないので実は水です)

何しろ酒造ですから、まずは酒蔵を見せていただきました。

こちらが巨大なタンク。
ちょうど仕込みの時期で、ぶくぶくと泡立ってました。圧巻。初めて見ました!

このタンクひとつから一升瓶1,300本分くらいのお酒が絞れるそうです。同じタンクでも最初、真ん中、最後の方で味が少しずつ違うそうなのですが、三芳菊さんには、それをなんと、Rolandのベースライン・シンセサイザーTB-303のつまみで表現しているお酒もあるそうです!

***

編集部の山本です。お酒大好きです。特にお酒本来の深くずっしりとした味わいと豊かな香りが楽しめる無濾過生原酒には目がありません。

まず三芳菊さんのお酒の特徴なのですが、まるでパイナップルやリンゴのようなフルーティーな香りと、甘く濃厚な味、それらの後味をスッと断ち切る酸味のバランスでして、従来の日本酒とは違う(良い意味で)ワインのような、個人的にもドストライクなお酒です!

今回呑んだお酒は「山田錦新酒限定おりがらみ」です。

シンセサイザー・マニアの方ならわかると思いますが、ラベルのつまみはローランドTB-303の6つのつまみを再現してます。


(実際にTB-303を同じセッティングにして鳴らしてみました)

「HIGH PASS MIX」は、チューニングは最大値、カットオフ開いて、レゾナンスはフラットです。呑んでみると、ホントにセッティング通りのイメージのきらびやかな味と香りです!無濾過生原酒なので当然濃厚なのですが、すっきりとした爽やかさも合わせ持ちます。キリリと冷やせば日本酒が苦手な女性にもお勧めできそうな華やかさです。

一方の「LOW PASS MIX」(こちらは以前飲んだものです)は、レゾナンスを上げてカットオフを思いっきり絞ったようなコクがあり、太く濃厚でまろやかな旨味がズシンと来ます。同じタンクでも、こんなに味が違うんですね。

以上、編集部山本の試飲レポートでした。

***

この、日本酒らしからぬ攻めたラベルには「ワイルド・サイドを歩け」の文字が。

もちろん、ルー・リードのあの名曲から取ったそうです。
速攻で脳内にイントロのベースラインが鳴り響きます〜。

馬宮さんは元々、東京でミュージシャンを目指しながらレコード屋で働くギタリストでした。

あるとき、ご実家から「(酒蔵の経営が厳しくなり)そろそろ閉じようと思うから、あんたもちゃんと就職しなさい」と電話がかかってきたそうです。

酒蔵を閉じるとは実家を手放すことを意味していました。生まれ育った酒蔵を無くしたくなかった馬宮さんは、就職ではなく家業を継ごうと決意。日本酒のことは全く知らなかったのですが、当時の杜氏さん(ぎゃっ!ダジャレ!!)に3〜4年くらい酒造りを習い、人件費削減のために自分が杜氏になることにしました。

当然、「素人にできるか!」と、全員に反対されたそうですが、「どうせ閉めるなら、好きなようにやってみよう」と決めました。

徳島県と共同で酵母を開発して、山本編集員が書いていたようなワインのようにフルーティーで芳醇な香りがしてアルコール感を感じない、日本酒の常識や古い考えにとらわれないお酒を作りました。

お酒ができると東京へ自分で売りに行きますが、今と違って日本酒は上越など北のお酒がもてはやされていて、四国のお酒は全然相手にされなかったそうです。

でも、家に帰ったときに娘さんたちが「お父さん、お酒売れた?」と聞くので、毎回、「売れたよ」と嘘をついていました・・・。それで、娘さんたちは「うちのお父さんのお酒は東京で人気!」と信じていたそうです。

うぅ・・・(涙)。

悪目立ちでもいいから何か特徴を作ろう!レコードだって「ジャケ買い」するんだから、ラベルだってお酒の味をイメージしたものがあっていい!とポップに萌えてみたところ、同業者から冷たい批判を受けたそうです。

この頃の逆境の中、ルー・リードの「決められた道じゃなくて、危険を犯してでも自分の好きな道を歩け」という歌の内容が、日本酒の常識や古い考えにとらわれずに、お客さまが喜んでいただけることだけを考えて日本酒を作ろうという心情にピッタリとハマり、サイトやラベルに「ワイルド・サイドを歩け」という文字を入れるようになったとのことです。

こんな苦労が実を結びました。10年ほど前からSNSでこのポップなラベルと「日本酒じゃなくてワインのよう」「こんなフルーティなお酒は他にない」と話題になり、注文がどんどん増えて、引き継いだときには倒産寸前だった業績も回復して人気のブランドになりました。

子供のころから販売を手伝っていた娘さんたちは大きくなり、今は農大の醸造科でお酒について勉強しています。

ちなみにラベルのイラストは全部、地元徳島の若いクリエーターが描かれていて、こちらのラベルの文字は、娘さん書です。


(3姉妹はお酒の銘柄にもなってます、純米大吟醸が長女、純米吟醸が次女、特別純米が三女です)

1本、映画を見終わって、エンドロールでルー・リードがかかったようなすごい余韻のある話でした・・・。


このあと、いよいよ禁断のワイルド・サイドな機材ルームへお邪魔します!
全く売れなかった、あの製品が3台も・・・。

続きもお楽しみに!

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ライター・プロフィール

楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)

電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
著書『好きなことだけすれば子どもは伸びる』(みらいパブリッシング)

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