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TB-303にサインもらった話
配信日 2019・02・28
おはようございます。坪井佳織です。
世間的には今週末の3月3日はひな祭りですね。ローランド的には“TB-303の日”ということで、TB-303が大好きな社員の思い出話をします。
せんえつながらワタクシ、1997年ごろ、ローランド社員バンドを組んでおりました。大好きなフレンチポップスをベースに、テクノ好きな新入社員を誘ってDJを入れたり、映像と音楽を同期したライブをやったりしていました。
そのときのテクノ大好き、TB-303大好き新入社員が、西健一郎くんでした。
こちらは、現在のスタジオ
アレンジしたり映像を作ったり、練習したり打ち上げしたりで、週3で会ってたんですけど、世代の違いに加え、西くんには「僕のこと、知って!」という欲がまったくなく、わたしの側にも理解してあげる知識が足らず、今ひとつ、彼が何をやってんのか、分からずじまいだったんですねー。
でも実は、ハマったことにはめちゃくちゃ行動的で、海外のインディーズ・レーベルからCDをリリースしてたり、有名なミュージシャンから興味を持ってもらえたり、たまーに嬉しそうに報告してくれてたんですけど、「は、はい〜」って感じで、そのすごさを分かってあげられず。「バンドのHP作ろー」と盛り上がった時は「Flashっていう技術を使うと、動かせるんですよ!」なんて言ってたけど、「動かすって何を?」って感じ。
噛み合わないわたしたち。
ところが、数ヶ月前、とあるイベントで偶然再会したとき、西くんがビールを飲んでいることにびっくり。打ち上げでどれだけわたしたちがベロベロになっていても、決して飲むことがなかったので、飲めないんだと思ってたら!!
「あの頃は飲むメリットを感じなかった」という彼らしい返答に、20年の時を超え、大爆笑したのでした。どーですか、バンドメンバーに飲みニケーションのメリットを感じてもらえてなかったわたし(笑)。
現在はクラフトビールにどハマりして、こんなサイトでインタビューまで受けちゃってます。 www.alesmith.jp
西くんは、高校生の頃に、Hardfloorというアーティストの音楽と出会い、TB-303のとりこに。それがきっかけでローランドに入社したそうです。(知らなかった・・・) あんまりにも好きで、来日公演のときに自分のTB-303にサインをもらったそう。
正直、昔はあんまり仕事楽しそうに見えなくて、「この子、近いうちに辞めるんだろうなー」なんて思っていたので、20年経っても社内にいるのがちょっと意外でした。
「何言ってるんですか、僕、めちゃくちゃローランド好きですよ」
ほんと、知らないことだらけ。そうだったんだ!!
彼と組んでいたバンドでは、VS-1680、SP-808、MC-505などをズラリと並べて、あらかじめ録音したトラックを再生しながらリアルタイムで音を重ねていました。
当時、ローランドでは「ミュージック・フェスティバル(略してミューフェス)」という社内バンドイベントが毎年開催されていました。大きなホールを貸し切り、ローランドならではの「無駄なクオリティの高さ」でアレコレこだわったステージが繰り広げられていました。
わたしたちのバンドでは、リアルタイムに映像と音楽を合わせたんですが、まだ何らかのクロックを出して同期させる技術はなかったので、耳で聞いて手で合わせる、という超アナログなことをやってたらしいんです。
当時のシステム(基本はVHSで、DVDが出始めた頃)では音楽の拍に合わせて映像を出すことは不可能でしたので、映像チームの皆さんは、いわゆる「映像ポン出し機」を自作していたそうです。PCを使ったリアルタイムCGやゲーム機を改造したもの、PCで操作する高速映像再生装置などなど・・・。
わたしが思いついたアイデアを、西くんが技術的に翻訳してくれて、映像チームの皆さんと作り上げていきました。
たとえば、「Ave Maria」のコーラスをあらかじめHDレコーダーに録音しておき、口パクした映像も録画しておきます。ライブ当日、スクリーンにはハモりパートを歌うわたしと、ライブでメロディーを歌うわたしが透過合成されました。何度も言うけど、同期は手動ですw
手動とはいえ、西くんのDJブースと映像再生ブースはステージの上と下だったので、曲の頭出しくらいは、MIDIか何かで制御してたはずですよね、ローランドだし。で、改めて聞いたところ、
「う〜ん、アイコンタクトかなぁ〜?」
とのことでした。超スーパー最先端アナログ技術でした。
当時の映像がこちら。 https://youtu.be/4L-xQ0ujkAk
いや〜、今ならスマホひとつで、4X Cameraであっという間にできる合成技術です。
それから7年後の2005年、「映像との合奏」というコンセプトが製品となったのが「Visual Synthesizer CG-8」だそうです。7年もかかるようなことを手動でやってたんですね〜。
あんまりにも画期的過ぎて、イベントが終わった週明け、社長と会長からわたしの席に内線が入ったほどでした。「あれはどうやって同期してたんや?」って。
西くんが開発に携わった機種は、MC-909、Fantom-X、AIRAシリーズ(TR-8, TB-3, VT-3, SYSTEM-1)、DJ-909などたくさんなのですが、特筆すべきはTB-3です。西くんは、この機種のレビューのためにドイツへ飛び、なんと憧れのHardfoorと“仕事仲間”になりました!
Hardfloorって、ドイツのテクノ、アシッド・ハウスの大御所なんだそうです。ごめん、相変わらず全然知らないんだけど、「夢を叶えたんですよ!」って嬉しそうに語る姿を見て、「こんなに熱い青年だったとは!」と思いました。
なんか、まだいろいろな技術もなかった頃に、チマチマといっしょに音楽を作った仲間と、20年ぶりにいろんなことを思い出したり思い出せなかったりして、時の流れにジーンとしたのでした・・・。
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これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!
ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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