1983年に約1,300ドルで発売されたTR-909は、約1年間で10,000台製造されただけで、その製造が終了となります。MIDI接続、強力なシーケンサー、外部ストレージ、高品位なサウンドなど、TR-808の後継機として数多くの機能改善があったものの、その製造期間はTR-808よりも短かったのです。製造終了後、常に新しい演奏スタイルに挑戦する若手ミュージシャンたちが、その後中古ショップでTR-909を手にしていきます。その流れから、プロのスタジオ現場を対象にするのではなく、ドラム・サウンドとシーケンサーなどのミニマルなセットアップで楽曲制作を行うユーザーに向けた製品として打ち出しが必要だったことがのちに分かったのです。