悲報!新社長がわたしより◯◯だった!!

配信日 2024・08・08

おはようございます。
坪井佳織です。

2024年7月、ローランドの社長がイギリス人のゴードンさんから蓑輪雅弘さんに変わりました。

「また?!」

うん、わたしもそう思ったよ。

「何かあったの?
ま・・・、まさかの不祥事?」

うん、うん、わたしもそう思ってビビったよ。

なので、このふざけたメルマガでしか聞けないことを、蓑輪新社長に率直に聞いてきましたよ。あ、ちなみに、不祥事ではありませんので、ご安心ください。そこには、立ち会った編集部社員たちも息を飲む、びっくりな裏話がありました。

蓑輪社長は、1996年ローランド入社以来、DTMパッケージのミュージ郎シリーズ、DTMブランド「EDIROL」(エディロール)の立ち上げ、コンパクトレコーダーのR-09爆発大ヒット、往年の名機を新コンセプトで復活させたAIRAシリーズ立ち上げ、最近ではクラウドサービスのRoland Cloud立ち上げなどに貢献してきました。そのストーリーをたっぷり聞いてまいりましたので、どうぞお楽しみに最後まで読んでください。

ところで・・・、

ついに、ついに、恐れていたことが起きてしまいました。

この新社長・・・、

なんと・・・、

わたしより年下〜〜〜〜〜〜〜〜。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。エーンエーン

実はね、何年か前から、やたらとメルマガ取材時に「それは蓑輪さんに聞いて確認します」「蓑輪さんの許可を得ます」など、蓑輪社長(※当時は役員)の名前を頻繁に聞くようになったのです。

でね、その名前にわたくし、すご〜く聞き覚えがあったのです。

「まさかそれって、わたしの知ってる『蓑輪くん』じゃないよな?
だって、彼はすごく真面目で朴訥(ぼくとつ)なエンジニアだったから」

ずっと心の中で思ってました。
話に出てくる「蓑輪さん」は、どうやら営業・マーケティング系の方で、すごく偉い人っぽいんですよね。わたしの思い出とは全然違います。

そうして今回、ついに社長になったらしい、しかも、とある筋から「彼はずーっと社長になろうと狙っていたに違いない。そうじゃないと、あのキャリアの説明がつかない」って聞いてたんですよ笑。

ところが、新社長の写真を見たら、あれ?やっぱり、あの『蓑輪くん』なのです!

そうか・・・、真面目で朴訥なエンジニアだと思ってたけど、実は出世欲の強いイケイケサラリーマンだったんだ・・・。なんだかちょっとショック・・・。

それで、久しぶりにお会いして、最初に想いをぶつけてみました。

「蓑輪さん、虎視眈々と社長の座を狙って、キャリアを歩んでたってホントですか?どうやって狙い通り社長になったんですか?」

そしたら・・・、

「ちーーーーがーーーう!!!
違います!!!!!」

ぶんぶんぶん!!!と大きく手を振って全否定されました(笑)。
噂、恐るべし!

「ただ実は・・・、2022年に前社長のゴードン・レイゾン氏が就任したときに、“お前にバトンを渡すのがわたしの役目だから、しっかり準備しろよ”とは言われていました」

えっ?!
つまり、ゴードンさん就任時には次は蓑輪さんと心の中で決めていて、しかも告知されていたってこと?!

これには取材に立ち会った社員一同もびっくりでした。
確かに、前社長ゴードンさんは、折に触れて「自分の役割はバトンタッチすること」とおっしゃっていたそうです。それが「蓑輪さんに」だったとは・・・!

「その頃にはさすがに『社長になる』ということを意識していました。
『なりたい』というより、自分が引き受けて、会社ももっと盛り上げてきたいと考えるようになりました。

わたしが入社した頃、ローランドの先輩たちが本当に生き生きと、やりたいことをやる風土の中で、仕事も遊びも全力で楽しんでいました。紆余曲折あった自分のキャリアの中で、いつの間にかさまざまな部署の仕事、また、新しいことの立ち上げなどを経験させてもらいました。ならば、自分がバトンを受け取るべきだろう、と」

不祥事か?!とドキドキしてすみませんでした・・・。
すべてはしっかり用意されたものでした。

では、「社長になろう」と決断するまでの蓑輪さんの、ローランドでの道のりはどのようなものだったのでしょうか。紐解いていきましょう!

「坪井さんとのつながりをね、まず思い出して、こんなの持って来ましたよ」

編集部注:1996年度新入社員研修資料「アレンジャーの楽しみ方」(作成:坪井佳織)

(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)ォォォオオ
こっ、これは!!

だよね?
だよね???
あのとき、わたしが新入社員研修を担当した、蓑輪くんだよね?!

それにしても、なんだ、このイラストは?!
ふざけている・・・。
こんなにふざけていたとは・・・。

そして、このふざけた資料をちゃんとていねいにファイリングしてあるとは・・・。

思わず編集部員がつぶやきました。

「やっぱり、社長になる人は違うなぁ」

わたしもそう思います。
その場に立ち会った4人の社員たち、誰も保管してませんでした笑。
おいこら。

しかも、この研修の感想を報告した当時の上司が、

ローランド前々社長、三木さんでした笑。

わたくし→蓑輪社長→三木元社長、次々繋がる資料に、爆笑して大盛り上がりの我々。「新社長へのインタビュー」ってことで、ちょっとくらいはピリついていた空気が一気にほぐれました。←社長、こういう人です、昔から。

こちらは、高校時代の蓑輪社長です。
TMネットワークにハマって、バンドを組んでいたそうです。大学時代は、軽音部を立ち上げ、部長の座に。この頃から何かやりたいことがあったら自分で立ち上げる、という実行力が備わっていたのかもしれませんね。

楽器を演奏するようになったきっかけは、幼少期に習っていたヤマハさんのエレクトーンだそうです!

おぉ、( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ!
「先生んちのDシリーズは3段鍵盤で譜面台が遠いから、近眼には辛かった」という思い出まで同じwww

ローランドとの直接のコンタクトは、高校時代に応募した「電子ピアノFP-8モニター募集」の落選通知でした。

「外れたのにステッカーが送られて来て、ていねいなメーカーだなって思いましたよね」

しかも落選通知には、「2,500もの応募があった」と数字も書いてあって、ちょっとびっくりしました。封書の宛名も手書きだし、本当にていねいですよね。

他にも、就職情報誌の切り抜きや、エントリーシート、エントリーした人に送られる社内報の抜粋(これまたローランドらしい面白ふざけた内容で、しかも載ってる社員の人選も面白くて、爆笑)などなど、貴重な資料を次から次へと見せていただきました。

エントリーシートが入っていた封筒には、ローランドで最も有名なキャッチコピー、「We Design the Future」が印刷されていました。

当時、新入社員研修の締めくくりとして、発表会があったそうなんです。まだプレゼンソフトもありませんから、資料は手書きの紙をOHPという透明なシートに転写したものでした。

蓑輪さんは、自分が関わってきた「音楽」と「インターネット」を融合させたアイデアを発表しました。

こうして見ると、オンラインレッスン、リモートセッション、ネット会議などなど、28年後の今では実現されていますが、当時はまだ実現可能な技術もないわけなので、「ふぅん」という反応だったそうです。

「それが巡り巡って、クラウドサービスのRoland Cloudの事業を担当することになったときには、あの頃の夢が叶った、無駄なことはひとつもないなと思いました」

学生時代の蓑輪さんは、Apple Japanでバイトをして、さまざまなイベントで製品を説明していました。

入社して最初に配属されたのは、DTMパッケージ製品の「ミュージ郎」シリーズを開発するDTM部署でした。

ミュージ郎シリーズは、ローランドの音源と外部制作会社やソフトウェア会社とのパッケージ製品だったので、マニュアル製作や動作検証、さらにはそういった会社さんとのやりとりや契約交渉まで任されました。

蓑輪さんが開発に携わったミュージ郎SC-88ST Pro(社内ではLEDが並んだ見た目から、『八つ目鰻』と呼ばれていたそうです)

その後、ソフトウェア・エンジニアとしてMacのソフトシンセ「VSC-88」の開発に携わりましたが、ご本人曰く、「プログラマーとしては先輩に習いながら何とかこなしている感じで、まだまだ戦力にはならなかった」そうです。

一方、毎年新製品が出るミュージ郎シリーズは、各種イベントでの説明員がとにかく足りなくて、Apple Japanでの経験にプラスして、自ら開発にも携わっている蓑輪さんはしょっちゅう駆り出されていました。

当時ローランドはEDIROLというDTM専門のブランド(現在はローランド・ブランドに統合)を新規に立ち上げたばかりでした。

入社して5年が経った頃、当時の担当役員から「蓑輪くん、今晩空いてるか?飲みに行こう」と誘われます。

そこで、エンジニアとしてうまく自分を発揮できないという愚痴を2時間聞いてもらった後・・・

「EDIROLの営業推進部(東京)に2年間来てみぃひんか?
2年経ったら浜松の開発部署へ帰したるから」

というお誘いを受けたそうです。

蓑輪さんとしては、「とうとうエンジニアとしてクビが言い渡されたんだ」と思って、とてもショックを受けました・・・。

ですが、本当の理由は違いました・・・。

後編に続きます。

当記事はメルマガ「ローランドの楽屋にて」のバックナンバーです。
本文中の製品情報や取材をお受けくださった方の肩書、および弊社社員の役職等は配信当時のもので、現在とは異なる場合があります。

これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!

ライター・プロフィール

楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)

電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。

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