AIRA Compact S-1だけの新機能!

配信日 2023・05・12

昨日(2023年5月12日配信当時)、AIRA Compactの新シリーズ、TWEAK SYNTHESIZER S-1が発表されました!

はいー、ちゃんと開発のみなさまにお話を伺ってまいりましたよ〜。「THE 好き勝手に作っちゃったーズ feat.3年目の新人エンジニア」のみなさんです。

(左から、機構担当の佐治さん、ソフト担当の阿江さん、製品リーダーの永澤さん、ソフト担当の山中さん、わたし)

AIRA Compact といえば、「お求めやすい価格でローランド製品を体験してもらおう!」的なコンセプトで、2022年に3機種同時発売された、大好評の製品です。

(左から、TRドラムとTB-303ベースを搭載したビート・マシン「T-8」、コード・シーケンサーとJUNO-60のサウンドを搭載したコード・シンセ「J-6」、ボイスエフェクトとルーパーを搭載したボイス・ツイーカー「E-4」)

今回加わったのは、「本格的なシンセの入り口」として、SH-101をモチーフにしたシンセサイザーです。アナログシンセマニアの皆さまに大人気のモデリング技術、“ACB(Analog Circuit Behavior)”を採用しています。

(1982年に発売されたアナログ・シンセサイザーSH-101。驚くような低音や比類のないリード音が鳴ったことからテクノやハウスシーンで大活躍しました)

(こちらが今回発売になるツイーク・シンセサイザー「S-1」です)

さてさて、お手頃価格実現のため、エンジニアには「少ない工数で効率よく」開発することが求められます。

なのに・・・。

なのに・・・・・・。

またやっちまいました。

こんなに小さくて、こんなに安いのに、この機種にしかない、新しい技術がめっちゃ入ってます(T_T)

エンジニアに聞いてみました。
なぜやり過ぎるのか、と。コスト削減のために省エネで開発しなきゃダメでしょう、と。

「いやぁ〜、肩の力を抜いて開発したことがないから、抜き方が分かんないんですよ」

AIRA Compactシリーズは、実際に手に取ってみると、思った以上に小さいです。エンジニアたちは「なるほど〜、この小ささなら、こんな音楽シーンでこんな風に使えるな」と想像がむくむくと湧くそうです。すると「だったらこんな機能があったら便利じゃないかな?」と思いつき、やっちまうというわけです。

では、見た目はコンパクト、中身は本格派!シンセ界のコナン君、S-1の目玉機能をご紹介します。


オシレーター・ドロー

本体だけで、波形を描くことができます。取材では、分かりやすく実際に波形が変化する様子を見せていただきましたが、意図的に変えるというよりは偶発的に生まれた自分だけの音を楽しむのが良さそうです。


オシレーター・チョップ

波形を切り刻んで、のこぎり波+矩形波などミックスすることができる機能です。刻み方や混ぜ方はいろいろ調整できるので、誰も作ったことのない音が生まれる可能性があります。
ノイズと矩形波を切り刻んで混ぜると、ノイズなのに微妙にピッチのある音になったりします。

開発した阿江さんは、「手巻き寿司」に例えていました。

サクで買ってきたお刺身を切る。←これがチョップ。細かさは自由。
いくつかの具を混ぜた味を楽しむ。←混ぜ方は自由で、味は無限。

できた手巻き寿司は、量や具の種類によって、「自分だけの味」になるわけです。


ライザー

わたしのイチオシ新機能がコレ!下にある動画の最後をご覧ください↓

ライブパフォーマンスで、曲の展開を盛り上げるのに使えます。ただ見ているだけだと、「ふむふむ、なるほど」って感じだったのですが、やらせてもらったら、楽しい〜〜!!

なぜ楽しいかというと、自分の指先のコントロールひとつで、絶妙なタイミングで盛り上がることができるからです。失敗もまた楽し。うまくいくまで何度も何度もトライしたくなります。

これって、まさに「楽器演奏」!

超絶テクニックでものすごく上手に使いこなす方、本来の使い方じゃないトリッキーな使用法を編み出す方などが出てきそうです。

以上、S-1にしか搭載されていない新機能のご紹介でした。

・・・と文字で言われても全然伝わらないと思うので、取材時の動画を見てください。

S-1開発者に推しの機能を聞いてみた>>

これらは、阿江さんが第一次試作後に勝手に作り、あまりにも素晴らしいので、製品のパネルに印字された機能です。

これが開発当初から「何か新しいもの作って入れて」と言われていたら、こねくり回して、本当に欲しいものではないものができる可能性があるそうです。

第一次試作ができ、基本的な部分が仕上がって無事に音が出たときだからこそ、アイデアと心の余裕が生まれて、「そうだ、これ作ってみたらどうかな」と思いつくそうです。

阿江さん自身が趣味で曲を作るので、技術先行ではなく、音楽ありきの発想が元になっています。

「エンジニアとして自分がワクワクして作ったものは、お客様もワクワクして音楽を作ってくれると思うんですよ。

その音楽を聴いて自分がまたワクワクさせてもらっています」

ワクワクの連鎖反応・・・。
素晴らしい。

ここまでは「THE 好き勝手に作っちゃったーズ」の話を聞いてきましたが、「feat.3年目の新人エンジニア」はどう感じているのでしょうか。今、3年目に入ったばかりですから、実質、入社2年目で担当したことになります。すごー!

「わたしは機構を担当しました。

元々、大きさが決まっているので、その中にすべてを詰め込まなくてはいけません。でも、先輩がていねいに試行錯誤して作り上げてくださっていたので、即座に「できそう」と思いました。

ただ、その後は楽な道のりではありませんでした。

たとえば、このキーボードパッドの部分を見てください」


「この光り方について、薄すぎると見えない、濃すぎるとLEDの粒が見えてしまう。絶妙な調整をするために、部品を変えたり強さを調整したり、何十種類も試作を重ねました。

先輩エンジニアに見ていただくと、「コレとコレだと、うーん、こっちかな。でももう少しはっきり見えないと不親切だよね」など、判断されるのですが、正直、途中から「変わらなくない?」って思ってましたw

ローランドのエンジニアは本当にこだわりがすごいです。最後の方は、わたしには違いが分からなかったです」

めっっっっっっっちゃ共感します!!!

わたしも、ローランドで働いていた頃、「詰めまできっちりやる人たち」を人生で初めて見ました。途中で疲れてきて、「もう良くない・・・?!」と思うことも何度もありました。

ところが・・・。

いざローランドを辞めてフリーランスになると、世の中の仕事の詰めの甘さがものすごく気になり、自由業なのに「めちゃくちゃ細かい人」になってる自分がいたのです・・・。

本当は、みんなが自分の仕事に誇りを持ち、使ってくださるお客様のことを考えて最後の最後まで妥協しない姿勢でいれば、素晴らしい世の中になるよなぁと思うのです。

わたしは今は子どもたちに教える仕事をしているので、ローランドで学んだことを思い出し、「仕事ってのはね、最後の詰めまできっちりやるんだよ!」と、自分のことは高い高い棚に上げて伝えています。

当記事はメルマガ「ローランドの楽屋にて」のバックナンバーです。
本文中の製品情報や社員の役職等は配信当時のもので、現在とは異なる場合があります。

これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!

ライター・プロフィール

楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)

電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。

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