TR-1000 Rhythm Creatorは、アナログの温かさ、デジタルの緻密さ、自在なサンプリングを融合し、ジャンルを超えたパワフルな楽器へと進化しました。
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社内ゲーマーが社長に企画を直訴して通った話
配信日 2023・01・05
新年、あけましておめでとうございます。坪井佳織です。 え、え、え、待って。 「辞めさせられませんよーに!」と読者様から心配されてしまう「ローランドの楽屋にて」、なんと、明けましたの通算6回目じゃないですか? 無事に社長交代の時も生き残りましたからね、こうなったら読者様に還暦を祝ってもらう勢いで続けたいと思います。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます♪ さて、新年最初は、今日発表されたばかりの新製品「BRIDGE CAST」をご紹介します。
ゲーム配信に特化したオーディオ・ミキサーで、ローランドとしては初めてゲーム業界に参入する製品です。新規参入というだけでもチャレンジなのですが、実はこの製品、ある1人の社員の熱意によって開発されたという、ローランドでも珍しい経緯で誕生したものです。 社員の名は古賀弘隆さん。所属している機構開発部は、基本的には製品開発部署からの依頼によって設計をする部署です。もちろん、機構ならではのアイデアが活きた製品を主導して開発することはあるのですが、まったく新しい分野を切り開く製品企画を出すことは前例がありませんでした。
ゲーミングチェアでふんぞり返るわたくしとお話を聞いたみなさま
古賀さんは中学生の頃から「自分のセンスやアイデアで仕事をしてみたい」という夢がありました。幼稚園時代からスーファミ、プレイステーションなどで育ったゲーム好きでしたが、社会人になってからはゲームから遠ざかっていました。今から5年ほど前に後輩に誘われてPCゲームの世界に足を踏み入れました。 すると、eスポーツや対戦型のゲームでは勝つために音がとても重要なのに、「音が悪い!」という致命的な課題があることが分かりました。いろいろ調べてみると、ゲーマーのみなさんはそれなりにヘッドホンやスピーカーで工夫をしているのですが、古賀さんは、 「ローランドのオーディオ・インターフェースとプロ向けのオーディオ・ミキサーの技術があれば、ゲームの音をもっと良くすることができるのではないか」 と考えました。 見よう見まねで事業計画書と製品企画書を作リ、身近な役員、上司などで興味を示してくれる人がいないか探ってみましたが、誰もゲームなんてやってない(T_T)。 そこで、ダメ元で当時の社長に直にメールを送ったそうです!
左:製品リーダーの渡邊さん、右:古賀さん
「今思うと、とても社長に出すような事業計画書ではありませんでしたが、すぐに反応をいただきました。リサーチのヒントをもらって、さらに事業計画を修正し、社長と数名の役員とミーティングすることになりました。 そこで「可能性がありそうだね」ということで、「こちらで預かります」というお返事をもらいました」 おぉ〜〜・・・、すごい・・・。熱い・・・。 カンブリア宮殿みたい・・・。 何がそこまで古賀さんを突き動かしたのでしょうか? そこには、「趣味のゲーム業界に貢献したい」、「ゲーム業界は人数が多く、ビジネスチャンスがあるのではないか」、「中学の頃からの夢、自分のアイデアを製品にしたい」、さまざまな想いが重なっていたそうです。 ところが、「預かる」と言われてから何の連絡もないまま、1年が経過しました。 その頃、古賀さんはLive Production開発部の渡邊正和さんと趣味でモノづくりの活動をしていました。渡邊さんは古賀さんがゲーム用のオーディオ・ミキサーの企画を個人的に出したこと、社長や役員から好感触をもらったことは知っていたので、「次はあれを作ろう!」と眠りかけていた企画を掘り起こしたそうです。 どこにスポットを当て、製品化するか考えるにあたり、強力な助っ人になったのが「社内ゲーマー」のみなさんでした。
くくく・・・笑 スミマセン、取材前の資料に「社内ゲーマーのみなさん」という文字を見て、すごい笑いました・・・。なんだ、このパワーワードは。 ローランド社内にはゲーマーが多く、ヤマハさんのゲーマーと対戦したりしてるらしいです。対バンはよく聞いたことがあったけど、ゲーム対戦までしていたとは・・・。仲良しで微笑ましいです。 渡邊さんと古賀さんから「うちでゲーム周辺機器作ることになったから、商品スペック決めとか検証とか、協力してくれる?」というオファーが来て、てっきり大喜びしたかと思いきや、ガチ勢のみなさんなので、不安も大きかったらしいです。ガチで好きだからこそ、クオリティも求めてしまう、大丈夫・・・?という不安、そして「自分なんかがゲーマー代表でいいんだろうか。下手なこと言って外したら申し訳ない」という不安。 そんな不安を上回るほど、古賀さんからの提案がめちゃくちゃ熱くて、「これは協力するしかない!精一杯、自分にできることをやらねば」と思ったそうです。 元々、ローランドは楽器が好きなエンジニアが「自分が欲しいものを作った」ということが多く、そういう路線で熱いんですよね。今回も、開発経緯でのゲームに対する熱いトークが聞けると思ったのですが、意外と冷静な感じでした。 ところが、製品が形になるにつれ、「こ、これはすごい!どうせだったら自分の意見も入れて欲しい!!」とどんどん欲が出てきて、今や、「発売日に絶対買う!!」と古賀さんの熱意がすっかりうつってました。 さて、製品リーダーの渡邊さんは、GO:LIVECASTを作ったエンジニアです。
GO:LIVECASTを取材したのはちょうどコロナ禍が始まる直前で、この「楽屋にて」でスペシャル生配信をしましたよ〜。読者のみなさまとコミュニケーションを取りながら番組を進めていったり、台本のない進行で笑いが起きたり、想像以上に楽しくて、すっかりハマりまして、その後、2回も生配信をしましたね〜。 スタッフもドキドキの、慣れない生配信はこちらから↓ごらんいただけます。
https://youtu.be/m5Ldlm2euw0
わたしはプライベートでもGO:LIVECASTを購入し、通算で200回くらい子どもの教育に関する配信をやりましたし、音楽教室の生徒が自分たちで企画して生配信したりと、めちゃくちゃ活用しております。 配信の面白さは、「顔も知らない皆さんと、ひとつの話題で繋がれること」。こればかりはやってみないと分からない面白さかも! ゲーム実況配信の世界もすごく奥が深く、もちろん、「ゲームテクニックのすごさ」で人気を博している配信者もいるけど、「おしゃべりが上手」「集まってくる人たちとの雑談が楽しい」など、あらゆるコンテンツが揃っているそうです。 子どもの頃、友だちの家に集まって、誰かがやっているゲームを後ろから見ながらあれこれしゃべる。そういう楽しさに近いらしいです。うん、分かる気がする! そして、どんな配信であっても、土台となっているのは「配信としての質が良いこと」。そのひとつとして、音の良さは重要なわけです。 開発に携わった松村文雄さん(ハードウェア担当)、空閑政彦さん(ファームウェア担当)によると、「お求めやすい価格にすることが決まっていたので、コストをかけすぎないようにしながらも、高機能を求められました。これまでのローランドの蓄積があったから実現できたことですね」とのことです。
一番左:松村さん、一番右:空閑さん
ゲーム実況配信者は、 ・ゲームの音 ・自分のトーク ・ボイスチャット ・BGMなどの音楽 など、いくつかの音をミックスして配信します。 これをノブによって、ゲームに集中しながらコントロールしやすくしたのがこのBRIDGE CASTです。 このミキサー機能には「オモテとウラ」が存在します。これがすごく大きな特徴。
オモテは、配信用の音声です。 自分のトークを、視聴者にとって聞き取りやすいようにミックスします。 一方、ウラは、自分がゲームに集中するための音声です。ゲームの音を爆音にしても大丈夫。 オモテとウラのミックスはボタンひとつで簡単に切り替えられ、LEDでそれぞれがどのくらいの音量か、パッと見てわかります。 ファンタム電源が付いているので、コンデンサーマイクを接続することができます。しかも配信用などに大人気のボイス・トランスフォーマー を搭載。宇宙人やVTuber用ボイスに変換したり、リバーブ、ノイズ除去、コンプレッサーなどのエフェクトをかけることもできます。
それから、敵の足音を持ち上げて聞き取りやすくするなど、あるゲームに特化したゲーミングEQ機能が入っています。もちろん、自分で調整することも可能。 デスク周りがスッキリするように、とてもコンパクトです。モニターをいちばん下に下げた状態でぶつからないギリギリの高さで、操作しやすいように傾斜が付いています。
フロントパネルは取り外してステッカーを貼ったり、自分の好きな色に塗ったり、カスタマイズが可能。とりはずしてまた取り付けてもネジが緩くならないなどの設計と、それでいて値段が高くなりすぎないというコストを両立することが大変だったとのこと。それでも、ゲーマーのみなさんにカスタマイズの文化があるということが分かったので、なんとか実装しました。
カスタマイズの一例
もう、何もかも、実際にゲームをやる人に嬉しい仕様になってます。 それもそのはずです。 何しろゲーマーが部署の壁を飛び越えて企画し、ゲーマーの意見を取り入れて作られたから。 最後に、熱い想いが製品となった古賀さんに聞いてみました。 「ついに完成して、どうですか。 この製品、売れると思いますか?」 「もちろんです。 売れるという自信を持って作りました。 自分も必ず買います!」 それを見ていた社内ゲーマーたちも強くうなづき、「ぼくも買います」「この機能でこの価格で販売できるなんて素晴らしい!」など絶賛していました。 ・・・じーーーん・・・ すべての仕事が、こんな風に胸を張って「いい仕事をした!」って言い切れる人たちによってなされていたら、きっと素晴らしい世の中になるだろうな。
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これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!
ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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