ぼくは壊れる楽器を作らない!

配信日 2021・5・20

去年(※2020年)の夏、「眺めながら酒が飲める製品」として、V-Drums Acoustic Designシリーズをご紹介しました。

開発者が集まって、自分たちの製品を撮影する会を開いたときの写真

このたび、「さらに旨い酒が飲める製品」が発表されました。(※2021年当時)
VAD706です。

ご覧の通り、カラーバリエーション、略してカラバリができました。
お話を伺ったのは、左から機構担当の渡邊 亮賢さん、製品リーダーの高﨑 量さん、機構担当の内海 圭太さん、デザイン担当の澤田 茂さんです。

カラバリを主に担当したのは入社3年目の渡邊さんです。

渡邊さんは実はVドラムユーザー。中学生の時にVドラムHD-1を購入しましたが、残念なことに壊れてしまったそうです。中学生なので、どうするべきか知恵もなく、ガムテープを貼って使い続けましたが、初めての自分の楽器が壊れたショックは大人が考えるよりずっと深いものでした。

それで、入社時の面接で

「ぼくは、壊れる楽器を作らない!」

と言ったらしいです。

言った就活生もすごいけど、それで採用した会社もすごい。

その思いは今も健在で、「10,000台に1つ不良品があったとして、そのひとつに当たったお客さんからしたら100%なわけだから、ひとりも悲しい思いをさせたくない」と、今回のVADは品質検査のための専用の部屋を作り、何度も全数検査を行なっています。

製品のみならず、梱包設計は、お客様が段ボールを開けたときに製品が最大限美しい状態であるようにこだわり尽くし、さらにドラムを包む不織布の品質は、「まるでブランドバッグを手に入れるような所有感」を追求しました。

普通、製品の試作は2次くらいで終わりますが、このVADのシェルはなんと、第10次試作までいったらしいです!
作ったシェルの数はなんと600個以上!

当然、試作費用もとんでもないことにw

入社3年目の渡邊さんが、この恐るべきこだわりの品を納得するまでやらせてもらえたのは、先輩たちの支えがありました。

色やデザイン、細かいパーツに至るまで、何度も試作を重ね、「さすがにそろそろ決めないとまずいだろう」と思い、完全に納得したわけではありませんでしたが、「これで…」と提出したところ、デザイン担当の澤田さんに

「本当にこれでいいと思ってる?」

と言われたそうです。

ヒィ〜カタカタカタ(((;゚;Д;゚;)))カタカタカタ!!
相当な信頼関係がないと言えないですよね。

つまり、「自分が本当に納得するところまでやれよ」というエールだったのではないでしょうか。

とはいえ、こだわることによって、当然、原価は上がります。趣味じゃないんだから、「お金をかけてもいいのか問題」が浮上しますよね。

「その点は、リーダーの高﨑さんから、何度も『イッテヨシ!!』というメールが来ました」

「所有欲を満たすこだわりの製品にすることは決めていましたから、突き抜ける部分と抑える部分のバランスを見ながら、地道に家計簿は付けていました(`^´) ドヤッ!」

めっちゃかっこいい高﨑さんですが、

「・・・と言いましたが、普通に赤字でした(・ω≦) テヘペロ」

だそうです(笑)。

パーツひとつひとつに様式美を求めたこだわりがあります

さてさて、このたび、この見た目に対して期待を裏切らない音源も新規開発されました。TD-50Xです。

音源を開発した方々にもお話を伺いました。

左から土屋 ユリさん、今井 航さん、高﨑 量さん、髙井 瞬さん、新井 和寛さん、そして、積み木を崩したわたし
(編集部注:若い人には通じないと思いますので補足すると、金髪になったという意味です)

それはそれはものすごい音源らしいので、早速、開発秘話を聞いてみたいと思います!

「今回の音源では、なんと、ピーとピーをピーピーピーがピーして、ピーってますピー

って、ゎお〜い!!!
サンバか!!!

おいでやす坪井が叫びますよ!ほんまに。

実際、機密情報だらけで、言えることがほとんど何もないらしいですw
だったら、なぜ取材を受けたのか。

・・・というわけで、エンジニアたちからの裏付けは何もありませんが、わたしが代表して聴き、すごさをお伝えします。

・・・。

・・・・・・。

えと・・・、えーーーと、

「普通にドラム」です。

何がすごいのか、もはや分かりません。

ピアノからピアノの音がするのが当たり前なように、サックスからサックスの音がするのが当たり前のように、当たり前にドラムです。
すっごく音の良いドラムです。

小さいキーボードから、ホールの残響を含んだフルコンサートグランドの音がしたらびっくりします。でも、見た目がフルコンの電子ピアノからピアノの音がしても、たぶん、驚かないですよね。

そんな感じです。

ボディがすごいから、重厚なドラムサウンドが「普通」。

ですが、この「普通」、エンジニアからすると「よっしゃ〜〜!!!!」だそうです。

よっしゃ!の理由は、次回に持ち越すことにして、みなさんも、この「普通」を体験してみてください。

そのために、まず、ヘッドホンをご用意ください。そして、この動画を見てください。

https://youtu.be/U90oOhKsBEM

次回はさらに深掘り。
デジタルパッドとハイハットの開発秘話をお届けします。
次号のバックナンバーページはこちら >>

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ライター・プロフィール

楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)

電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
著書『好きなことだけすれば子どもは伸びる』(みらいパブリッシング)

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