TR-1000 Rhythm Creatorは、アナログの温かさ、デジタルの緻密さ、自在なサンプリングを融合し、ジャンルを超えたパワフルな楽器へと進化しました。
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歌がうまくなる隠れた名品
配信日 2020・6・25
おはようございます。 坪井佳織です。 わたしは、自粛の間にこっそり筋トレをしてくびれを作る予定でしたが、夢と散りました(涙)。あと2年くらい自粛しないと実現不可能と思われます。 こそ練といえばカラオケですね。 ローランドには、実は“カラオケこそ練器”があるのをご存知でしょうか。 その名も「ボーカル・トレーナーVT-12」。
え? 知らない? 生みの親、発案者は妹尾達也さん(取材当時、総務人事部)です。←ここで「あっ、あの?!」と分かった方は(いらっしゃらないと思いますが)相当な「楽屋にて」マニアです! 6/4に配信させていただいた、20年前のローランド社員による本気のお遊び「本気で演歌をコピーした!」でオープニングとエンディング曲を打ち込んだ方です。 打ち込み技術がすごい人でもありますが、何事においても「ものすごく本気で遊ぶ人」です。趣味であればあるほど、本気です。
(ちなみに、妹尾さん、山本氏が持っているVT-12は私物です、わたしも持ってますのですごいVT-12所有率ですw)
約10年前、趣味でアカペラ・グループを組んでいた妹尾さんは、スタジオ練習のときに思いました。 「うーむ・・・、ピッチの練習などは各メンバーが家で自習できたら、もっと音楽的な練習に入れるんだけどなぁ・・・」 ざっくりとできたアイデアは、ボーカル用のチューナー+自習コンテンツというものでした。 で、まず何をやったかというと、「自分の構想を理解してもらうには何か作って見せるのが一番だ!」と、Windowsで動くアプリとプレゼン用の動画まで作ってしまったそうです。 何しろきっかけが趣味だったので、本気と書いてマジと読む、です。
コンテンツとしてどうしても搭載したかったのは、ジャズで有名なバークリー音楽大学のアン・ペッカム教授が開発したボーカル・トレーニング・メニューでした。 上記の動画をアン先生に見ていただき、「こんな良いものできそうなので、製品化しましょう!」と経営陣に説明したのは、妹尾さん・・・ ではなく、奥村昌平さん(RPG第2開発部)でした。 そこまで思い入れのある企画準備をしておいて、なぜバトンタッチをしたのか、ご本人たちも記憶がかなり薄れていたのですが、とにかく、初めて製品リーダーを務める、14期下の後輩に引き継がれたのでした。 実はモノづくりって、ある意味、本当に大変なのはここからなんです。 アイデアを製品にするために、 ・予算内で作る ・期間内に作る ・法律など規程に収まるように作る ・壊れないように作る ・量産できる仕様に整える などなど、目立たないけれどクリアしなくてはいけないハードルがいくつもあります。 それぞれの性格がぴったりとマッチしたんでしょうね、妹尾さんのアイデアを奥村さんがほとんどそのまま製品化する、という奇跡のバトンタッチが成功しました。 元々2つだったREVIEWボタンを、 「入らないから、一つにしていいっスか?」 と聞きに行ったのが、唯一の変更点だったらしいです。
ほとんど仕上がりつつあった頃、アイデアマンの妹尾さんが奥村さんにささやきました・・・。 「ねーねー、二音検出入れようよ」 二音検出とは、当時、技術開発部で研究をしていた新しい技術で、音のピッチを、二音同時に検出するというものでした。 デジタルならMIDIでノート・ナンバーを検出すればいいのですが、アナログ音声入力の二音同時検出は、最新の技術だったそうです。 VT-12では、ハモっている二人が同時に歌うと、どちらがズレているかをインジケーターで表示してくれるだけではなく、その幅が広いか狭いかを矢印で見ることができます。 つまり、「間違ってるよ!」だけじゃなくて、「こんな風にズレてるよ」ってことを教えてくれるコーチというわけです。
ここでわたしが気になったのは、その「広い、狭い」の基準が平均律なのか純正律なのか、ってことです。 平均律と純正律というのは調律の方法で、平均律はピアノのように移調できる楽器に使われる調律方法。一方、純正律はある特定の調でものすご〜〜くきれいなハーモニーを作るための調律方法です。天使のハーモニーなんて言われます。 カーペンターズやウィーン少年合唱団などが純正律でハモっていると言われています。 純正律の方がすごくきれいで心地よい、という話は有名なんですが、あまりにも微妙なので、自分がどちらでハモっているのか意識して練習するのは至難の技です。VT-12では、なんと切り替えてインジケーターで教えてくれます。
目で見て比較できるとは!! ボーカリストにとってはすごい機能です。 この二音検出、元は超有名な機能のために開発されたものです。何だと思いますか? 答えは「ギターのコード検出」です。BOSSブランドのギター・アンプAcoustic SingerシリーズやエフェクターのVE-8などに搭載されている、ギターで弾いたコードに合わせて⾳楽的で⾃然なハーモニーをつけてくれるHarmony 機能などに使われています。 ね? だんだん、VT-12に興味が湧いてきたでしょう? VT-12には兄弟製品があります。それは、VT-12-EK。EKとは「演歌」です。カラオケ、特に演歌に特化して練習メニューを入れ替えてあるそうです。 (編集部注:2020年当時。VT-12-EKは販売完了いたしました) それから、もうひとつ、この地味な製品には驚きの事実があります。 それは、発売以来、8年間に渡り、ずーっとコンスタントに売れ続けているということです。しかもどこの誰にそんなに売れ続けているのか謎だそうです(笑)。 おーい! 全国のVT-12をお持ちのみなさーん!! いつどこで何で買ったのか教えて〜! 8年間売れ続けている同級生は、ロングセラーの超定番サンプラー「SP-404SX」ですwww 相手がすご過ぎて、この取材中、判明したときに爆笑が起きました。
同級生
妹尾さん曰く、「息が長いというのは、特殊な部品を使っていないから作り続けることができているということだから、やっぱり奥村君のチームと当時のハードウェア担当者の功績ですよ」だそうです。あまり日の目を見ることはありませんが、モノ作りではとても重要なことなんですね。
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当記事はメルマガ「ローランドの楽屋にて」のバックナンバーです。本文中の製品情報や社員の役職等は配信当時のもので、現在とは異なる場合があります。
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これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!
ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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