重い!重すぎる試作機!!

配信日 2020・03・26

おはようございます。
坪井佳織です。

今日は電子和太鼓TAIKO-1の開発秘話、第二弾をお届けします。

第一弾はこちら >>

TAIKO-1はローランドのV-Drumsの技術を応用して開発されました。

V-Drumsのパッド面のセンサー技術には定評があります。とはいえ、ドラムと太鼓では表現方法が全然違うので、そのままでOK!ってことにはなりませんでした。

太鼓は、打面のこの位置と、

この位置で、

まったく違う音が鳴ります。さらに強弱でだいぶ音が変わります。ドラム・セットは、スネアやタム、シンバルなどいろいろ組み合わせて演奏しますが、太鼓は鼓面ひとつであらゆる表現をするため、プロから求められる表現力がとても高かったそうです。

その表現の幅は、V-Drumsの最新モデリング技術をさらにブラッシュアップし、変態の領域まで達して実現しているらしいですw サウンド担当の髙井氏に、ものすごぉ〜く技術的な説明をされたのですが、最後にサラッと「あ、企業秘密だから書かないでね」と言われたので書けません…(というか、書けないのになぜ説明したのでしょうか…)

もう一点、長らく開発を苦しめたのは、パッドの「重さ」でした。

2つのパッドを両面に持ち、音源を積み、金属の骨組みで組み合わせたものをストラップで肩掛けで背負うとなると、相当な重さになってしまったそうです。

わたしも、本物の桶太鼓と最初の試作の電子和太鼓を持ち比べてみましたが、「重っ!!」って感じ。全然違いました。

本体の重さを軽くするためと、工業製品としての品質やセンシング精度の向上、お客さまのメンテナンスを楽にするために、組紐をやめて金属の骨組みだけにするというスタイルにチャレンジしました。

すると、見た目が・・・。
昭和のお母さんが化粧をしていた鏡台の椅子(分かります?)にしか見えなかったそうです(笑)。

デザインを担当した、プロダクトデザイングループ(当時)の澤田 茂さんにお話をうかがいました。ちなみに澤田さんもプライベートで和太鼓のワークショップに参加して和太鼓ファンになりました。頼みもしないのに、担ぎ桶太鼓のストラップを夜なべしてミシンで縫ってくるくらいの太鼓愛の強いお方です。

まずひとつめに、打面に巴(ともえ)模様を入れたこと。
これでグッと見るからに太鼓っぽくなりました。

次に、機構担当者の吉野 澄さんのアイデアで、骨組みの金属を糸で巻き、骨組みそのものを紐のように見せました。紐感は出せたけれども、「組んでる」感じがしなかったので、骨組みを斜めにすることで交差して見え、組んでる感を出したそうです。

また、とても細かい部分ですが、骨組みと打面の接続部分は、オリジナルのパーツを制作したそうです。「和太鼓らしく見せる」という部分へのこだわりは相当なものです。

こちらが最初の薄型パッドのジョイントパーツ。

「道具」っぽいというか、「楽器」っぽさがまだ無いですね。

そこでL字型にしてみました。

う〜ん・・・、悪くはないけどー、「美しさ」や「和」のテイストには欠けるということで、澤田さんが考案したのがこちら。

このカーブと反り!

これがなぜ「和」を思い起こさせるかというと、神社仏閣の屋根瓦の「鳥衾(とりぶすま)」や手すりの「跳高欄(はねこうらん)」の先端に向かって反り上がる形をモチーフにしたからだそうです。澤田さんのこだわりがすごい!!

ちなみに、このパーツは通称「んーの字ジョイント」と言うらしいですw
開発段階でこういう通称がいっぱいできていくんですよねー。

こちらが試作機1号からのデザインの変遷です。
どんどん洗練され、和太鼓らしさを残しながらも軽量化され機能的になっていく様子が分かります。新製品発表会では、試作機が並べられ、みなさん興味深く写真を撮りまくっていましたね。試作機を公表するのはとても珍しいですよね。

最後に、長銅太鼓には環(かん)という部分があります。持ち運びに使うそうですが、和太鼓のシンボルですよね。

TAIKO-1にも「環」の字をモチーフにデザインされた印(しるし)が入ってます。TAIKO-1は、たくさんの方々(プロの太鼓打ち、その活動を支援する方、魂を込めて太鼓をつくる方々など)のご縁をいただき、共に作りあげたので、「人の環(わ)」という意味を込めたそうです。ええ話や〜(TT)

来週はいよいよ、TAIKO-1の音の秘密に迫ります!

公式サイトでは、開発者のTAIKO-1への想いや愛が感じられる開発ストーリーを公開しています。ぜひご覧ください。

TAIKO-1開発ストーリー

本号はバックナンバーです。本文中の製品情報や社員の役職等は配信当時のもので、現在とは異なる場合があります。

これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!

ライター・プロフィール

楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)

電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。

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