TR-1000 Rhythm Creatorは、アナログの温かさ、デジタルの緻密さ、自在なサンプリングを融合し、ジャンルを超えたパワフルな楽器へと進化しました。
オンライン・ゲームをライブ配信するときのサウンドを、BRIDGE CASTで一気にレベル・アップしよう。
Backstageは、ローランド/BOSS・プロダクト・オーナー専用の会員サイトです。製品の登録、メールニュースなどのメニューをご用意しています。
ローランド公式のYouTubeチャンネルです。最新製品の紹介、製品の使い方解説など、様々な動画コンテンツをご用意しています。
ローランドのLINE公式アカウントです。最新の製品ニュースやサポート情報、お得なお知らせを皆様の元へお届けしています。
調べたい製品名や型番が分かる場合は、こちらからサポート情報を検索してください。
知りたいことや困ったことを「質問」すると、詳しい人から回答やアドバイスをもらえる、ユーザー同士のコミュニティ(コミュニケーションの場)です。
世界最高のシンセをつくろう!
配信日 2019・08・01
おはようございます。 坪井佳織です。 山端さんの夢はポリフォニックのシンセサイザーを作ることでした。 1980年、山端さんが入社して3年目、ローランドでは「世界最高のポリフォニック・シンセサイザーを作ろう」という企画が持ち上がりました。 当時、ポリフォニックのアナログ・シンセといえば、Prophet-5、Oberheimなどがありました。どちらも200万円以上。もちろん、ローランドの技術者もこれらを研究しましたが、そこには「当時の日本にはないアメリカらしい自由さ」が詰まっており、おおいに刺激を受けたそうです。 設計段階では、まだマイクロ・コンピューターの開発環境がなく、プログラミング言語まですべて自分たちで作り、「自由にやりたいことをやらせてくれた」そうです。 ローランドのアナログ・シンセは第一号機のSH-1000から始まり、その頃にはSYSTEM-700で、技術的には一応完成されてきていましたが、ポリフォニック化していくには、いろいろと課題がありました。 たとえば、当時のアナログ・シンセは、トランジスタのある特性を利用して音高(ピッチ)を決定する回路を使っていましたが、そのトランジスタの特性が温度で変化してしまって、“ピッチが安定しない”という問題がありました。そこで、それまでのローランドのアナログ・シンセは、内部のヒーターでトランジスタを温めることによって安定を図っていたため、電源を入れてからピッチが安定するまでに30分くらいの時間が必要だったのです。 せっかく温まっても、ボディを開けて調整してしまうとまた冷えて不安定になるため、JUPITER-4では、背面にある「Roland」というプレートをネジで外すと穴が空いており、そこからドライバーを突っ込んでピッチを調整できるようにしていました。
JUPITER-8では、このヒーター方式をやめ、ソフトウェアでピッチの補正を行いました。山端さん曰く、「本当はチューニングの自動化をやりたかったんだけど、切り替えのときにどうしてもノイズが出てしまって、そこまでいけなかった・・・。悔しい」とのことです。
それから、JUPITER-4はなんであんなに背が高いかというと、マザーボードに縦向きに4枚、音源モジュール・ボードが刺さっていたからです。物理的にあれだけの高さがないとダメだったわけです。
また、それまでのシンセは回路が直接ボタンやつまみに繋がっていたので、中身の設計通りに操作子を並べるしかありませんでした。 JUPITER-8では、マイクロ・コンピューター制御になったので、ボタンやつまみを使い勝手優先で自由に並び替えることができました。ボディも薄くなりました。
ここで、JUPITER-8の大きな特徴でもある、カラフルなボタンについて聞いてみましょう。 試作段階で見せたところ、当時の社長、梯郁太郎氏から「なんや?!この北極のアイスキャンデーみたいな色は?!」と言われたそうです。(のちに、すご~くお気に召され、“自分がこの色を決めた”ということに記憶がすり替わっていたそうw) 今回、この記事のために「北極 アイスキャンデー」でググってみたところ、う、う、うまそ~~~!!・・・ポチりました。
ホントだ・・・、色似てます。美味しかったです。
LED付きのボタンをいろいろ取り寄せてみましたが、色のきれいな外国製のモノは不良品が多かったそうで、結局、ローランドオリジナルで制作したボタンになりました。 こうして、山端さんがハード設計を担当し、学生時代からのアイデアを詰め込んで仕上がったJUPITER-8は、月に100台ずつしか生産できなかったにも関わらず、常に数ヶ月待ちの大ヒット商品となりました。 当時の世界中のミュージシャンが使ってくれたそうですが、中でもハービー・ハンコックやハワード・ジョーンズが使用してくださっているのをテレビで見たときは、「かっこえぇ~~!」と思ったそうです。 すごいですよね、開発時はまだ入社2~3年目、25才くらいの青年が作ったシンセが世界中で演奏され、テレビに映ったんですから! JUPITER-8は、分厚いアルミ板を側板に使うとか、中身にもガラス製の両面基板を使うとか、当時としては贅沢の極みの逸品でした。世界最高のシンセを目指したことに対し、山端さんは自由にやらせてもらい、確かな評価を得ることもできたそうです。 ところで、当時のシンセの開発には、量産するための待ち時間がありました。設計した金型を作ってもらう、などの製作段階です。 山端さんはJUPITER-8の待ち時間に、この技術を応用して、せっせと別な実験を進めていました。 すなわち、もっと「安くて」「軽くて」「使いやすい」シンセができないかな~、と。 そう、JUPITER-8の隣でひっそりと開発されていた機種、それが・・・?もう分かりますよね?そう、SH-101です。
お待たせいたしました!次回は、みんな大好きSH-101の開発秘話をお届けします。お楽しみに!!
新しい記事を読む
バックナンバーTOP
古い記事を読む
この記事をシェアする
これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!
ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
メルマガ「ローランドの楽屋にて」
もちろん無料です。
登録解除はいつでも簡単にできます!
メルマガを購読する