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JD-800のデザイン秘話
配信日 2019・01・17
おはようございます。坪井佳織です。 今日はJD-800のデザイン秘話をお送りします。デザイナーの福岡さんにお話を伺いました。
JD-800が発売されたのは1991年。 製品コンセプトは「Return to the Roots of Synthesis」。当時“アナログは時代遅れで今はデジタルが主流!”となりつつあったシンセ界に、「音作りはやっぱりアナログの方が分かりやすいよね?」というのがローランドからの提案だったわけです。 全体のデザインは、製品コンセプト「原点回帰」をそのまま造形デザインにしたそうです。 ん?? どういうこと?? よーく見てください。 デジタルの皮をベリベリーッと破いて、中のパラメーター群を覗かせたのです!
言われてみれば、なるほど~~~ですよね。 バリバリとめくられ、端に寄ったデジタル部分は、斜めに基盤を配置し、ボタンも斜めになっています。見た目も刺激的ですが、どうしてもボタンが遠くなってしまうため、使い勝手をよくするという機能面の目的もありました。 “皮”と“中身”の切り替えは、段差になっています。とっても贅沢なことに、下の段は普通に端までボディーがあり、その上に斜めの部材が重ねられています。そのため、強度があります。 シンセがデジタルになってから、その精密さを表現するため、ボタンは小さく細く作るのが主流でした。JD-800は操作性をよくするため、大きくしました。 しかも、リアルタイムで操作することの多い音色セレクトボタンは、形は同じですが、ストロークを1mmくらい深くしてあります。確実に押すためです。お持ちの方は、ぜひ、試してみてください。
また、JD-800は、ミゾの無いスライド・ボリュームを実現した初めてのシンセでした。ここにくるまで、福岡さんが「ミゾ無くそうよ〜!!」と8年間言い続けたらしいです。 デザイン面だけでなく、ガリ音になりにくいという機能面でのメリットも大きいからです。 ちなみに、JD-800に限らずローランドのシンセの多くがスライダーを使っていたのは(Moogなど他社は丸形つまみが主流)「パッと見てだいたいの値がわかる」という創業者の強いこだわりがあったからだそうです。
ボディには、高級感を出すために「ヘアライン」という加工を施してあります。金属の表面につけた細かい筋のことです。そのため、素材はアルミと樹脂の2段重ねになっています。 ちなみに、ローランドのシンセで初めてアルミを使ったのは、1985年のS-50でした。福岡さんが「アルミは曲面が作れる」という利点を前面に押し出してデザインしたそうです。
また、LEDはキツすぎる赤ではなく、オレンジを使うことで高級感を出しました。当時、緑のLEDはまだ全然きれいじゃなかったそうです。ボディーが黒色ではなく高級オーディオのようなチタン・カラーなのもシンセ初です。 細かいところまで贅沢に部品を使い、時代に逆流するデザインを引っさげて、上層部へプレゼンしに行ったわけですが、開発部では「これはやり過ぎてて、通らないぞ」という予想が大半だったそうです。 が、なんと!! 一発OK!!! かくして、バブルという時代の後押しもあり、デザイン的には「やりたいことを全部やった」と福岡さんがおっしゃるJD-800は、あの姿で世に発表された、というわけです。 その後はみなさんもよくご存知の通り、ヒット商品となったわけですが、それにはデザイン面の豪華さだけでなく、音のヌケの良さも功を奏しました。とりわけ、小室哲哉さんがプリセット53番「Ac.Piano 1」をめっちゃ使ってくださったことが有名ですよね! ちなみに、このあと、JD-300という幻の機種が計画されてしましたが、あの景気と共に弾けて散ってしまいました・・・。 そのおかげで、唯一無二のシンセとして今でもファンが多いんですから、かえって良かったのかもしれませんね。
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これからも全力でゆるい楽屋ばなしをお届けしてまいります!
ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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