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カリモクのおっちゃん
配信日 2018・08・30
おはようございます。坪井佳織です。 ※注意:本日のメルマガ、関西のノリを効果的に表現するために、顔文字多めになっております。ご了承ください。 まず、先日のアンケート「開発秘話を聞きたいローランド製品を教えてください」の中から1通紹介します。
「きよら」です。異業種、それもハイブランド家具メーカーさんとのコラボレーションが生まれたきっかけや双方のやり取り上の秘話などお聞きできればぜひ知りたいです。当方ピアノ教師、生徒さんにカリモクを扱う家具屋店主さんがいて、先週のレッスンでは一緒に教室に置いてある「きよら」のカタログを眺めながらうっとりした次第です。
コメントをくださったピアノ教師さん、ありがとうございます♪ 早速、採用とさせていただきました!! 実はわたくし、こう見えてカフェ好きです。どう見えてるか知らんけど。 正確に言うと、リノベーションされた建築物とインテリアが好きで、店内ですっごいキョロキョロします。カリモク60のソファがあって、60~70年代のフレンチポップスがレコードで流れているようなお店が好みです。
カリモクさんは、創業70年を超える老舗の家具メーカーです。
営業部(取材当時)の花井氏
営業の花井のおっちゃんによると、 「昔はトラックにソファを積んで、手にマメができるほど、あっちこっちの事務所で組み立てましたんや。 不動産屋とか刑事ドラマとか、どっこでもありますやんか。 それがD&Departmentさんで取り扱われるようになって、なんか、若い人らに予想外のところから人気が出ましてん。 わたしら、どうしたら若い人にも使ってもらえるか、一生懸命考えてたのに、なんてことはない、昔からの定番商品がウケましてね」 とのこと。 ん? なんか似てません? TR-808とか909のストーリーに。 ローランドには、カリモクさんとコラボして製作した電子ピアノがあります。KIYOLA(きよら)といいます。2015年にグッドデザイン賞を受賞し、今年、MoMA(ニューヨーク近代美術館)ストアでの取り扱いが始まり、展示されました。なんと電子ピアノとしては初めてのことだそうです!
そもそも、コラボ製品を開発することになったのは、当時の開発リーダー、村井 崇浩(むらいたかひろ)氏が、カリモクさんに「一緒に電子ピアノつくろーよ!」と連絡をしたことがきっかけです。 「初めてコラボの話を聞いたとき、どう思いました?」と聞いたところ、カリモクのマーケティングセンターのトップ、神谷常務(取材当時)の顔つきが急にキリッと変わり、「あ、これ、絶対いける!と思いましたね」。
左:神谷常務、右:KIYOLAをデザインされた藤森氏
こ、これは…、すごい話が聞けそうです! 脳内で「プロフェッショナル」のテーマが流れ始めてます。
「それは…、なぜですか…?…ゴクリ…(`・д´・ ;)」
「ん~、なんとなく!!!!わっはっはっはっは!!!」
( ̄Д ̄;)!!
すかさず、花井のおっちゃんが
「フイーリングですがな、フイーリング!がははははは!!」。
読めてます? Feelingじゃないですよ、フイーリングです、でっかい「イ」です。 ガラガラガラ ←おしゃれなカフェイメージが崩れ去っていく音。 わたしの父が「Hi-Fi」のことを「フュヤーフュヤー」と、文字に起こせない発音をしていたのを思い出しました…。 何か製品を作るとき、パーツのサイズを設計してその通りに用意するんですけど、どうしてもカットの誤差などが出ます。「この程度なら製品に支障はなく仕上がるかな」という、許せる範囲のことを「公差(こうさ)」といいます。 カリモクのデザイナー、藤森さんは、電子楽器業界のモノづくりの常識において、こんなところにまず驚いたそうです。
「わたしたちの家具業界では、公差は0.5mmなんですね。だけど、電子楽器業界では0.05mmだといわれた。そこに10倍の差がありました。すごい世界だな、と改めて思いましたね」
いやいや、そうはいっても木工加工で0.5mmって、日本のモノづくりの基準が世界一と言われるはずですよね。 いよいよ第一試作品を車に積んでカリモクさんがローランドにいらっしゃり、初めて電子楽器パーツと組み合わせたときは、みなさんドキドキしたそうです…、とはいえ、0.5mmと0.05mmの組み合わせですから、設計通りの完璧な仕上がりで、もう、サイズはピッタリ!!!奇跡と感動に湧いた瞬間…!!!! 「うわーーーー!! やりまし・・・た・・・ン? ンンンンン??????」 なんと、手を触れた瞬間、グッラグラだったそうなんです。ちーん。 そう、ローランド側のパーツが予想以上に重かったこと、それから家具の場合は接着などで強度を出すのですが、楽器は修理のことを考えて接着できない。それで、グラグラの横揺れがひどかったそうです。これではとても演奏はできません…。 帰りの車の中では、落ち込みすぎて、誰も口をきかなかったそうです。…が、花井のおっちゃんだけが大いびきをかいて爆睡していたそうです。さすが、裏切りません! その後、数々の伝統の技と新しい発想により、繊細で美しいフォルムでありながらリストばりの熱演にもビクともしない強度を生み出しました。みなさんもぜひ楽器店でお確かめいただきたいのですが、ほんの少しだけ、脚が踏ん張ってるみたいに開いているそうですよ。 KIYOLAの型番は、当初、「KF-1」だったそうなんですが、ローランドの製品企画会議で上司から 「KF-1…、ケーエフワン…、おまえ、それ、経営不安やがな(((;゚Д゚)))ガクブル!!」 という嘘みたいな本当の話で却下されました。 それで、当時の開発リーダー村井氏、「ダ、ダジャレかよ( ´д`ll)…」と思いつつも、「KF-10で、経営不安ゼロです!」という、まさかのダジャレ返しで対応したそうです。
「きよら」という愛称については、製品コンセプトから「清らか」というキーワードを思いつき、ついでに、カリモクの神谷常務のお名前が「清(きよし)」さんだったこともあり、村井氏が名付けたそうです。 「“きよら”という名前を初めて聞いたときはどう思われました?」と聞いたら、また花井のおっちゃんが…
「それやったら、いっそのこと、キヨシでええやん!と思いました。がははははは!!」
やだ~~(TДT)・゚゚・。!!! 新発売、ローランドのスタイリッシュ電子ピアノ、「キヨシ」! その存在感はまるで師匠! あ~、よかった、「きよら」で! まったくの異業種企業のコラボって、適度に対等な関係が築けないととても難しそうです。遠慮し合ってても良いものはできないし、そうかといって、自分たちの常識だけを言い張っても歩み寄れません。
今回のインタビューは、「カリモクさん、絶対に面白いから取材して!」というKIYOLAローランドチームからの強い要望で実現しました。また、カリモクの藤森さんは「ついに製品として世に出せたときは、初めて家具を作ったときのような感動がありましたね」とおっしゃっていました。 KIYOLAチームは「モノづくり」という点でお互いに最高のリスペクトを持ち寄ることで成功させたんだな、ということが熱く伝わってきて、清々しい気持ちでインタビューを終えました。ありがとうやで、カリモクのおっちゃんたち!!
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ライター・プロフィール
楽屋の人:坪井佳織 (つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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